2012年3月号 [Vol.22 No.12] 通巻第256号 201203_256005

観測現場から—Trans Future 5— 年に一度の「歯磨き」

(財)地球・人間環境フォーラム 研究主任 刈谷滋

温室効果ガスモニタリング協力船のTrans Future 5号(総トン数60,414トン)が1月下旬に定期整備のために和歌山県にある造船所にドック入りしました。この機会を利用して、船外から海水を測定装置に給水するパイプの洗浄を行いました。数十メートルあるパイプをつなぎ目ですべて外し、外に運び出し、内面を水で高圧洗浄し、元の通りくみ上げる作業です。足場を組んでパイプを取り外す必要があるため、作業は造船所に依頼します。作業の方が洗浄済みの配管を組み直そうとしていたので、配管内側をライトで照らしてみると、まだ藻や泥のような汚れが取り切れていません。作業の方に、高圧洗浄だけでなく、スポンジのようなもので1本1本丹念に汚れをこすり落としてほしいとお願いをしました。造船所の方にとっては水は十分通るのになぜそこまでやるのかと疑問をもっていたようです。たかが海水を通すだけですが、本観測においてその管理は非常に重要で、パイプ内面に汚れが付着・蓄積すると、給水量が低下する原因となりますし、さらに付着物の腐敗等により二酸化炭素が発生すると、正常な観測値を得ることができなくなる恐れもあります。年に一度、このようなパイプの歯磨きを行うことで、正確な観測データが得られ続けています。

photo. 外されたパイプ

洗浄のため外されたパイプ(内径35mm)

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