2013年11月号 [Vol.24 No.8] 通巻第276号 201311_276005

観測現場発 季節のたより 1 カメラがとらえた北アルプスの初冠雪

環境計測研究センター 環境情報解析研究室 主任研究員 小熊宏之

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今年2013年の夏は西日本の記録的な猛暑や、一部地域における過去に前例がない豪雨、そして九州地方の干ばつなど、特異的な気象条件であったということは記憶に新しいと思います。それでは「日本の屋根」とも言われている中部山岳地域の、特に北アルプスでは例年とは異なる特徴があったのでしょうか?

地球環境研究センターが実施する温暖化影響モニタリングでは、山小屋に自動撮影カメラを設置して、山岳環境変化のモニタリングを行っています。撮影画像は無線で転送され、高山域の積雪の有無などをリアルタイムに把握することが可能となっております[注]

それによると、2013年10月13日に富山県の立山や、長野県と岐阜県の県境に位置する穂高連峰〜槍ヶ岳一帯で今年の初冠雪が観測されました。立山の場合、本モニタリングを開始した2009年以降では、最も早い年が2011年の10月3日、一方で最も遅い年は2010年の10月27日と、気温や気圧配置の影響により年によって3週間程度の変動があります。今年の秋は気温が高めに推移したため、初冠雪が観測された日としては平年(10月8日)に比べてやや遅かったものの特異的な年ではなかったようです。

photo. 立山 photo. 槍〜穂高岳

初雪が観測された2013年10月13日の立山(上、11時撮影、カメラCanon EOS5D MarkII)と槍〜穂高岳付近(下、5時51分撮影、カメラAXIS P1357)

なお、報道によりますと、今年の日本列島の初冠雪は北海道大雪山系で平年より6日早い9月19日に、富士山では平年より19日遅い10月19日に観測されたということです。

初雪は直ぐに消えてしまいますが、台風26号通過後の10月17日に再び降雪が観測されました。このように消雪と降雪を繰り返しながら、やがて本格的な山の冬を迎えることになります。

カメラを設置させていただいている北アルプスの山小屋は、11月末の小屋締めに向けた下山準備を始めました。本モニタリングでは槍ヶ岳と蝶ヶ岳のカメラは冬季中も無人観測を続ける予定ですので、厳冬期の様子もお届けできると思います。

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