2014年9月号 [Vol.25 No.6] 通巻第286号 201409_286010

観測現場発季節のたより 4 この場所でしか得られないデータを取り続ける

  • 地球環境研究センター 炭素循環研究室 特別研究員 野村渉平

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国立環境研究所では、2009年から、日本で最も標高の高い富士山の頂上にある富士山特別地域気象観測所(通称:富士山測候所)で二酸化炭素濃度の観測を行っています。

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写真1朝日に照らされ現れる富士の影

測候所は夏期(7〜8月)のみ開所しており、その期間に測候所に設置してある観測機器の整備を行います。この地点の大気は、日本で最も地上付近の影響を受けていないことから、観測で得られた値は、地域の代表性を有する貴重なデータとなります。高度3700m以上、平均気温5°C程度の頂上での作業は、高山病による頭痛と吐き気を抱えながら行うため、集中力を保つのが難しい現場です。しかし、ここでしか得られないデータを安定的かつ長期間得るために、毎年登山し、観測環境をより良いものに改善しています。

今年も、そのような季節が巡ってきて、7月17–18日、31日に山頂にある測候所を訪れ、機器の整備を行いました。毎回上るたびに、頭痛と吐き気に襲われますが、山頂を下りて次の年の上る前の日まで、なぜか、この苦しみを思い出すことができません。そして翌年山頂に上って、再度、頭痛と吐き気が起こると、「あー、これこれ」と思い出すのです。

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写真2夏雲と測候所

目次:2014年9月号 [Vol.25 No.6] 通巻第286号

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