2015年2月号 [Vol.25 No.11] 通巻第291号 201502_291011

酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 14 気候変動枠組条約(その1) —3R・低炭素社会検定より—

  • 地球環境研究センターニュース編集局

【連載】酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 一覧ページへ

3R・低炭素社会検定は、持続可能な社会の実現のため、3Rや低炭素社会に関する知識を活かして、実践行動を行う人を育てることを目的としています。【3R・低炭素社会検定 低炭素社会分野試験問題解説集「はしがき」より】

検定試験問題から出題します。

問40国連気候変動枠組条約に関する記述について、【A】〜【C】に当てはまるものの組み合わせとして、最も適切なものはどれか? 「国連気候変動枠組条約」は A 年に採択され、その年の6月に開催された B で署名が開始された。その後、 C 年に発効され、発効の翌年より、締約国会議(COP)が開催されている。

初級レベル

正答率 86%

  • A:1998 B:IPCC C:2008
  • A:1992 B:地球サミット C:1994
  • A:1995 B:環境人間会議 C:1997
  • A:1997 B:環境と開発に関する世界委員会 C:2005
ヒント
ブラジルのリオデジャネイロで開催されたこの会議で署名が開始されました。
答えと解説

答え: ②

国連気候変動枠組条約は1992年に採択され、その年の6月にブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミットにおいて署名が開始されました。その後、1994年に発効し、翌年の1995年から締約国会議(COP)が毎年開催されています。

  • *正答率は第5回3R・低炭素社会検定受験者のものです

問41世界のエネルギー起源CO2の年間排出量1位および2位の国の組み合わせとして、最も適切なものはどれか?

中級レベル

正答率 63%

  • 1位:アメリカ 2位:中国
  • 1位:中国 2位:アメリカ
  • 1位:アメリカ 2位:ロシア
  • 1位:ロシア 2位:アメリカ
ヒント
経済発展の著しいあの国が2007年に世界1位の排出国となり、その後も排出量は年々増加させており、他国との差も拡大しています。
答えと解説

答え: ②

国際エネルギー機関(IEA: International Energy Agency)が、世界各国のエネルギー起源CO2排出量をとりまとめ、発表しており、この設問はIEAのデータを基にしております。IEAの発表によると、2006年まで排出量1位の国はアメリカでしたが、2007年に中国がアメリカを抜き、世界1位の排出国となりました。中国が排出量1位、アメリカが2位の順位は2010年時点でも変わっておらず、世界全体の排出量は増加し続けております。

なお、IEAが公表しているこの排出量はエネルギー起源のCO2排出量であり、エネルギー起源以外のCO2排出やCO2以外のCH4、N2O、HFCs、PFCs、SF6といったガスの排出は含まれていないなど、IEAのデータと京都議定書の下で公表されている温室効果ガス排出量データを比較する際には注意が必要です。

  • *正答率は第5回3R・低炭素社会検定受験者のものです

問422011年11月〜12月に南アフリカ(ダーバン)で開催されたCOP17で議論された京都議定書の第一約束期間以降の取組について、最も適切なものはどれか?

上級レベル

正答率 59%

  • COP17では、2030年までに世界全体で温室効果ガスを60〜80%削減することに合意した。
  • COP17では、第二約束期間を実施し、2030年までに附属書I国全体で25%削減することに合意した。
  • COP17では、日本やロシアが第二約束期間に参加しないことを表明したため、京都議定書の第二約束期間の実施は見送られた。
  • COP17では、2020年から始動するすべての国が参加する新たな枠組みを2015年までに構築することを決定した。
ヒント
今年、2015年のCOPはとても重要。その理由は?
答えと解説

答え: ④

COP17(南アフリカ・ダーバン)では、「2013年から京都議定書の第二約束期間を実施すること」を決定するとともに、「2020年から始動するすべての国が参加する新たな枠組みを2015年までに構築すること」を決定しました。

しかし、京都議定書第一約束期間と同様、アメリカが第二約束期間も不参加であること、附属書I国ではないが急速な経済発展に伴って排出量が増えている中国など新興国が削減義務を負わないことなどから、日本、ロシア、ニュージーランドは第二約束期間に参加しないことを表明しました。そのため、現状では第二約束期間で削減義務を持つ国・地域は附属書I国のうちEU28とその他の欧州各国(ノルウェー、スイスなど)、オーストラリアに限定されています。

ただし、法的拘束力はありませんが、日本(および他の削減義務のない国)はCOP16のカンクン合意に基づく国際枠組みに従い、2020年までの排出量を自主的に削減していくこととなります。

  • *正答率は第6回3R・低炭素社会検定受験者のものです
  • 出典:3R・低炭素社会検定(http://www.3r-teitanso.jp)低炭素社会分野試験問題解説集

目次:2015年2月号 [Vol.25 No.11] 通巻第291号

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