2015年6月号 [Vol.26 No.3] 通巻第295号 201506_295007

オフィス活動紹介(地球温暖化観測推進事務局/環境省・気象庁) 地球温暖化観測推進事務局の情報発信力強化に向けた新たな取り組み —気候変動影響統計ポータルサイトとウェブサイトのリニューアル—

1. はじめに

地球温暖化観測推進事務局(以下、事務局)は、地球観測に関する関係機関の連携を推進することを目的に設立された「地球観測連携拠点(温暖化分野)」(以下、連携拠点)の運営を担う組織として、平成18年4月、環境省と気象庁により、設置されました。

連携拠点設置以降、多様な連携施策を推進しています。施策のひとつとして、「社会経済データの整備」があり、具体的には以下に述べる「環境省 気候変動影響統計ポータルサイト」(以下、ポータルサイト)を運用しています。

この度、事務局における普及・啓発・広報活動を強化するため、ウェブ・コンテンツであるポータルサイト並び関連する事務局ウェブサイトを一新しました。

2. 「環境省 気候変動影響統計ポータルサイト」について

ポータルサイトは、平成21年3月の閣議決定「公的統計の整備に関する基本的な計画」に基づいて、「気候変動による影響(人間、農作物、建築物等)に関する統計」を環境省が関係府省と協力して整備することを目的に作られたものです。

環境省の委託を受け、事務局では、平成23年3月に策定された「気候変動影響の統計整備に関する基本方針」に基づき平成24年3月より運用を行っています。

本ポータルサイトは、「統計データ」と「参考資料」の2種類の情報で構成され、常時情報を更新しながら、現在までに約320件ものデータを有するようになりました。このポータルサイトの一番の特徴は、様々な機関のサイトで公開されている、気候変動に関係する統計情報が一か所に集約されているという点です。このテーマの統計データや参考資料を収集する時に効果を発揮します。

3.「環境省 気候変動影響統計ポータルサイト」のリニューアル

本ポータルサイトの開始以来、地球温暖化に関する研究の促進を図るため、統計データおよび参考資料の整備等を推進してきましたが、ほしい情報が探しにくいなどの意見も寄せられていました。

IPCCの第5次評価報告書でも示された通り、気候システムの温暖化は疑う余地がなく、既に現れている影響や今後中長期的に避けることのできない影響に対し、政府全体で「適応計画」[注]へ取り組むことが検討されています。このため、気候変動影響に関する情報はこれまで以上に必要になります。

これらニーズに積極的に応え、利便性の向上を図り、より多くの方々に正確で新しい情報をお伝えするため、ポータルサイトを全面的に見直し、リニューアルを行いました(図1参照)。具体的には、以下の3つの改善策を施しました。

1) 視覚的要素の導入
文字情報のみで、情報が探しにくいとの指摘が寄せられていたことから、各項目にピクトグラムを取り入れ(図1参照)、組織図や地図、解説図といった視覚的要素を導入しました(図2参照)。また「統計データ」と「参考情報」を色分けし、タイトルロゴなども新しく設け、ポータルサイト自体の存在感をアピールするようにしました。
2) 検索機能のホーム画面への移設
検索機能を最も目立つホーム画面の中央に設置しました。また、検索方法についても、図を用いた解説を付加して使いやすいものに改善しました。
3) 縦スクロールの縮減
使いにくいと指摘のあった縦スクロールを縮減し、一つの情報を1つのページにまとめました。その結果総ページ数が4ページから674ページになり、データベースに近い操作性を実現しました。
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図1新しくなった環境省 気候変動影響統計ポータルサイト(ホーム画面) 左側に並んでいるのが今回導入したピクトグラム。右側中央付近には検索機能が設置されている。 http://www.nies.go.jp/occco/statistics_portal/

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図2新しくなった環境省 気候変動影響統計ポータルサイト(「組織で探す」)のページより 組織図や地図などの視覚的要素も導入した。

ユーザーインターフェイスの改善により、従来よりもデータが格段に利用しやすくなりました。

4. 事務局ウェブサイトのリニューアル

ポータルサイトのリニューアルに併せ、事務局ウェブサイトも改善を施しました。具体的には、

  • 「地球温暖化」「観測」「連携拠点」といったキーワードを、より明確に表すメインビジュアルの導入、
  • より先進的な印象の色彩設計やデザイン素材の導入、

などです(図3参照)。

また、新たなコンテンツとして、「国内の観測施設共同利用情報」に、グーグルマップを利用した地図表示を導入し、位置情報などを把握しやすくしました(図4参照)。

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図3新しくなった地球温暖化観測推進事務局ウェブサイト(ホーム画面) 「地球観測」をテーマにしたメインビジュアルを大きめに配置し、ピクトグラムや個々のデザイン・パーツをよりシンプルでシャープな印象のものに一新することにより、従来よりも先進性、推進力といったものが感じられるような仕上がりを目指した。 http://occco.nies.go.jp/

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図4「国内の観測施設共同利用情報」の地図表示画面 各観測施設の地理情報が把握しやすく、使いやすくなった。

5. おわりに

ポータルサイトの主たるコンテンツは、観測データが中心ですが、今後は「適応計画」の策定等に役立つよう、新たなコンテンツの導入も検討しています。将来の気候変動影響に対処する「適応策」等の検討にお役立ていただけるようなものになればと考えております。

関係の皆様にも、ぜひポータルサイト並びにウェブサイトにアクセスしていただき、ご意見等をお寄せくださいますようお願い申し上げます。

ご意見の送付先
occco(at)nies(dot)go(dot)jp
ホータルサイトURL
http://www.nies.go.jp/occco/statistics_portal/

脚注

  • 地球温暖化による気温上昇、極端な気象現象の発生などといった影響への対応策として、政府全体で、短期的・中期的・長期的に適応策を重点的に講ずべき分野・課題の抽出を行い、抽出された分野・課題別適応策を関係府省において立案。総合的な取り組みとして、政府全体の適応計画が平成27年夏頃を目処に閣議決定される予定。

ご意見、ご感想をお待ちしています。メール、またはFAXでお送りください。

地球環境研究センター ニュース編集局
www-cger(at)nies(dot)go(dot)jp
FAX: 029-858-2645

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