2015年8月号 [Vol.26 No.5] 通巻第297号 201508_297004

酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 20 締約国会議(その2) —3R・低炭素社会検定より—

  • 地球環境研究センターニュース編集局

【連載】酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 一覧ページへ

3R・低炭素社会検定は、持続可能な社会の実現のため、3Rや低炭素社会に関する知識を活かして、実践行動を行う人を育てることを目的としています。【3R・低炭素社会検定 低炭素社会分野試験問題解説集「はしがき」より】

検定試験問題から出題します。

問59【A】〜【C】にあてはまる語句として、最も適切なものはどれか? 1992年に、 A を究極の目的にした気候変動枠組条約が採択された。1997年に開催された気候変動枠組条約締約国会議(COP)では、京都議定書が採択され、先進国の温室効果ガス排出量を2008〜2012年に原則として1990年の排出量から平均で約 B 削減するという目標が定められた。2010年に開催されたCOP16において、長期的な排出削減の指針として世界全体の温度上昇を産業革命と比べ C に抑えるという前年のコペンハーゲン合意を基にしたカンクン合意が合意された。カンクン合意は、2020年を目標年とした先進国の排出削減目標を条約事務局に提出するように定めている。

【A】

中級レベル

正答率 71%

  • 大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること
  • 温室効果ガスの人為的排出量をゼロにすること
  • 地球表面温度を産業革命以前の水準にもどすこと
  • 気候変動によってもたらされる国際的不公平を是正すること
ヒント
究極の目的は排出量をゼロやマイナスにすることではありません。

【B】

中級レベル

正答率 61%

  • 5%
  • 6%
  • 8%
  • 10%
ヒント
先進国全体では日本やEUの目標値とは異なった数値となります。

【C】

中級レベル

正答率 61%

  • 1°C以内
  • 2°C以内
  • 3°C以内
  • 4°C以内
ヒント
「○度目標」という言葉がよく使われています。「2050年に世界全体で排出量半減」や「日本で2050年80%削減」という目標もこの温度以下を目指しているものです。
答えと解説

答え: 【A】 ①, 【B】 ①, 【C】 ②

1992年に、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目的にした国連気候変動枠組条約(UNFCCC、United Nations Framework Convention on Climate Change)が採択されました。その後、1995年から国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催されています。1997年に開催されたCOP3では、京都議定書が採択され、先進国の温室効果ガス排出量を2008〜2012年に原則として1990年の排出量から平均で約5%削減するという目標が定められました(国・地域別では、EU −8%、日本 −6%、アメリカ −7%、ロシア ±0%など)。

2010年に開催されたCOP16において、長期的な排出削減の指針として世界全体の温度上昇を産業革命と比べ2°C以内に抑えるという前年のコペンハーゲン合意を基にしたカンクン合意が合意されています。カンクン合意は、2020年を目標年とした先進国の排出削減目標を条約事務局に提出するように定めています。日本は、前年のコペンハーゲン合意を受けて、温室効果ガスの排出量を2020年に1990年比で25%削減するという目標を提出しました(その後、カンクン合意が合意されたため、この数値はカンクン合意に基づく数値となった)。

しかし、国内情勢が変化したことや当時の民主党政権から自民党政権に代わったこともあり、政府は2013年11月に2020年の目標を差し替え、2020年に2005年比で3.8%削減するという目標に代わっています。

  • *正答率は第6回3R・低炭素社会検定受験者のものです

問602014年12月のCOP20(国連気候変動枠組条約締約国会議)の開催国(都市)および2015年のCOP21の開催予定国(都市)の組み合わせとして、適切なものはどれか?

中級レベル

正答率 73%

  • COP20:イギリス(ロンドン)、COP21:日本(横浜)
  • COP20:日本(名古屋)、COP21:アメリカ(サンフランシスコ)
  • COP20:ペルー(リマ)、COP21:フランス(パリ)
  • COP20:ロシア(サンクトペテルブルグ)、COP21:ブラジル(リオデジャネイロ)
ヒント
地球環境研究センターニュースの記事のタイトルを眺めてみましょう。
答えと解説

答え: ③

COPは1995年から毎年開催されています。これまでの主な開催地は以下のとおりです。

  • 1995年 COP1 ドイツ(ベルリン)
  • 1997年 COP3 日本(京都)
  • 2001年 COP7 モロッコ(マラケシュ)
  • 2007年 COP13 インドネシア(バリ)
  • 2009年 COP15 デンマーク(コペンハーゲン)
  • 2010年 COP16 メキシコ(カンクン)
  • 2011年 COP17 南アフリカ(ダーバン)
  • 2012年 COP18 カタール(ドーハ)
  • 2014年 COP20 ペルー(リマ)

なお、2015年COP21はフランス(パリ)で開催される予定で、2020年以降の枠組みを決める会議となっており、注目されています。

  • *正答率は第7回3R・低炭素社会検定受験者のものです
  • 出典:3R・低炭素社会検定(http://www.3r-teitanso.jp)低炭素社会分野試験問題解説集

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