2015年9月号 [Vol.26 No.6] 通巻第298号 201509_298008

酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 21 地球温暖化対策推進法とその関連制度 —3R・低炭素社会検定より—

  • 地球環境研究センターニュース編集局

【連載】酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 一覧ページへ

3R・低炭素社会検定は、持続可能な社会の実現のため、3Rや低炭素社会に関する知識を活かして、実践行動を行う人を育てることを目的としています。【3R・低炭素社会検定 低炭素社会分野試験問題解説集「はしがき」より】

検定試験問題から出題します。

問61地球温暖化対策推進法(2013年改正以前)の説明として、最も不適切なものはどれか?

中級レベル

正答率 82%

  • 1998年に公布された
  • 算定報告公表制度を実施することを定めている
  • 電力固定価格買取制度を実施することを定めている
  • 国が京都議定書目標達成計画を策定することを定めている
ヒント
地球温暖化対策推進法は京都議定書の採択直後に、その目標達成のために定められた法律です。
答えと解説

答え: ③

1997年に開催された気候変動枠組条約第三回締約国会議(COP3)において採択された京都議定書の削減目標を達成するために、その第一歩として国、地方公共団体、事業者、国民が一体となって地球温暖化対策に取り組むための枠組を定めた法律として制定された経緯を理解していれば、① ② ④ が適切であると判断できますので、消去法で正解が導けます。

「電力固定価格買取制度」は、再生可能エネルギー普及政策の一種で、再生可能エネルギーで得られた電気を、政府が定めた価格で買い取るよう電気事業者に義務付けた制度です。これによって、再生可能電力を発電する事業者の経営リスクを低減し、新規参入を促します。2011年8月には「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が成立し、「全量固定価格買取制度」が創設されました。

なお、2013年の改正において「京都議定書目標達成計画」は「地球温暖化対策計画」に改定されました。

  • *正答率は第5回3R・低炭素社会検定受験者のものです
  • 出典:3R・低炭素社会検定(http://www.3r-teitanso.jp)低炭素社会分野試験問題解説集

問62地球温暖化防止活動推進員の主な役割として、最も適切なものはどれか?

中級レベル

正答率 84%

  • 適応策の一環として、地域防災に関する知識の普及を行う
  • 地域において、地球温暖化の現状や地球温暖化対策に関する知識の普及、地球温暖化対策の推進を図る
  • 先端の基礎研究を応用し、新たな温暖化対策技術の研究・開発を行う
  • エネルギー管理指定工場等において、省エネ措置の実施などを行う
ヒント
地球温暖化防止活動推進員はその名のとおり、地球温暖化防止活動を推進する役割を持ち、都道府県等が委嘱します。
答えと解説

答え: ②

地球温暖化対策推進法第23条(地球温暖化防止活動推進員)では「都道府県知事及び指定都市等の長は、地域における地球温暖化の現状及び地球温暖化対策に関する知識の普及並びに地球温暖化対策の推進を図るための活動の推進に熱意と識見を有する者のうちから、地球温暖化防止活動推進員を委嘱することができる。」と定めています。

  • *正答率は第5回3R・低炭素社会検定受験者のものです
  • 出典:3R・低炭素社会検定(http://www.3r-teitanso.jp)低炭素社会分野試験問題解説集

問63温室効果ガス排出量算定報告公表制度の説明として、最も適切なものはどれか?

初級レベル

正答率 86%

  • 省エネルギー法で定められている
  • CO2を一定以上排出するものはその量を算定・報告しなければならない
  • 温室効果ガス排出量算定を実施するためには、国家資格を取得した専門家に委託せねばならない
  • 温室効果ガスの対象はエネルギー起源CO2のみである
ヒント
地球温暖化対策推進法で定められており、温室効果ガス(CO2だけではない)を一定以上排出する事業者は算定・報告する必要があります。
答えと解説

答え: ②

温室効果ガス排出量算定報告公表制度は、地球温暖化対策推進法(第21条「温室効果ガス算定排出量の報告」)で定められている制度で、温室効果ガスを一定以上排出する者(特定排出者)に温室効果ガス排出量の算定・報告を義務づけ、国がそれらをとりまとめて公表する制度です。この制度は2005年の同法の改正で導入されました。温室効果ガスの対象は京都議定書に定められた6種類のガス(CO2、CH4、N2O、HFCs、PFCs、SF6)で、エネルギー起源CO2に関しては、省エネ法のエネルギー使用量の報告と連動させて報告し、エネルギー起源CO2以外のガスについては、CO2換算で3,000トン以上となる事業者が対象となっています。なお、2008年改正でフランチャイズチェーン(連鎖化事業者)についてもひとつの事業者として報告することとなりました。

  • *正答率は第6回3R・低炭素社会検定受験者のものです
  • 出典:3R・低炭素社会検定(http://www.3r-teitanso.jp)低炭素社会分野試験問題解説集

問64我が国で、2012年10月1日より導入された低炭素社会の実現に向け、CO2の排出抑制や地球温暖化対策(再生可能エネルギーの導入や省エネ対策)の財源を目的とする税金は、次のうちどれか?

上級レベル

正答率 57%

  • 電力固定価格買取税
  • 地球温暖化対策税
  • 排出量取引税
  • 省エネルギー対策税
ヒント
地球環境研究センターニュース2012年10月号の記事を参照ください。
答えと解説

答え: ②

低炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの導入や省エネ対策をはじめとする地球温暖化対策(エネルギー起源CO2排出抑制対策)を強化するため、平成24年(2012年)10月1日から「地球温暖化対策税」が段階的に施行されています。具体的には、石油・天然ガス・石炭といったすべての化石燃料の利用に対し、環境負荷(CO2排出量)に応じて広く公平に負担を求める制度です。

  • *正答率は第5回3R・低炭素社会検定受験者のものです
  • 出典:3R・低炭素社会検定(http://www.3r-teitanso.jp)低炭素社会分野試験問題解説集

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