2016年11月号 [Vol.27 No.8] 通巻第311号 201611_311006
酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 最終回 33 持続可能社会 —3R・低炭素社会検定より—
3R・低炭素社会検定は、持続可能な社会の実現のため、3Rや低炭素社会に関する知識を活かして、実践行動を行う人を育てることを目的としています。【3R・低炭素社会検定 低炭素社会分野試験問題解説集「はしがき」より】
検定試験問題から出題します。
問98「持続可能性」を表す英単語として、最も適切なものはどれか?
中級レベル
正答率 83%
- ①Ecology
- ②Sustainability
- ③Stability
- ④Survivability
- ヒント
- 日本語でもよく使われる「サステイナブル」が形容詞形です。
- 答えと解説
-
答え: ②
② の「Sustainability」(サステイナビリティ)が持続可能性を指す英単語です。日本でもよく使われるようになった「サステイナブル」(Sustainable)という言葉がその形容詞形で「持続可能な」という意味になります。
① の「Ecology」(エコロジー)はもともと生態学を指す単語です。現在では環境保護(保全)や自然環境といった意味をも表す単語となっています。
- *正答率は第5回3R・低炭素社会検定受験者のものです
問99環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)による持続可能な発展の定義として、最も適切なものはどれか?
中級レベル
正答率 69%
- ①経済が持続的に拡大し続けるような発展
- ②有限な資源を使い果たすことのないような発展
- ③物的な豊かさを追い求めるのではなく、人々の主観的幸福を最大化するような発展
- ④将来世代がそのニーズを充たす能力を損なうことなく、現在世代のニーズを充たす発展
- ヒント
- 言い換えると、「現在世代と将来世代とが衡平(公正)に発展を受けられること」となります。
- 答えと解説
-
答え: ④
国連「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」の1987年の報告書では「持続可能な発展(Sustainable Development)とは、将来世代がそのニーズを充たす能力を損なうことなく、現在世代のニーズを充たす発展である」と概念整理しています。従って、これをそのまま素直に踏襲すれば「持続可能な社会とは、将来世代がそのニーズを充たす能力を損なうことなく、現在世代のニーズを充たす社会」と言えます。すなわち、現在世代と将来世代とが衡平(公正)に発展を受けられる社会ということになります。
- *正答率は第6回3R・低炭素社会検定受験者のものです
問1003Rにも、低炭素社会構築にも資する事柄として、最も不適切なものはどれか?
初級レベル
正答率 91%
- ①エアコンや冷蔵庫などの冷媒や断熱材を適切に回収・処理すること
- ②食べ残しなどの食品ロスを抑制すること
- ③焼却処理していた生ごみを、直接埋立すること
- ④アルミ缶をリサイクルすること
- ヒント
- 生ごみの直接埋立ではGWPの高いCH4が排出されます。
- 答えと解説
-
答え: ③
エアコン、冷蔵庫、車などの冷媒や断熱材として使われているフロン類の中には、大気中に放出されると、同重量でCO2の1000から1万倍以上の地球温暖化係数(GWP)をもつものあります。回収・処理する制度が整備されており、廃棄時に不適正な取り扱いをしないことが大切です。
アルミニウムは、原料となるボーキサイトからアルミナを取り出し、これを電気分解して製造されます。電気分解するときに多くの電気を消費します。リサイクルのアルミニウム(缶)は、ボーキサイトからアルミニウムを製造するよりもなんと約97%もエネルギー消費を削減することができます。
食べ残しなどの食品ロスの抑制は3Rのリデュースに該当します。もちろん、エネルギー消費も抑えることができます。
なお、生ごみの焼却時のCO2はカウントされませんが、直接埋立されるとGWPの高いメタンガス(CH4)が発生するため、③ の「焼却処理していた生ごみを、直接埋立すること」は、温暖化対策とは逆行する事柄となります。
- *正答率は第5回3R・低炭素社会検定受験者のものです
- 出典:3R・低炭素社会検定(http://www.3r-teitanso.jp)低炭素社会分野試験問題解説集
持続可能社会については、「環境漫画家 高月紘(ハイムーン)氏に聞きました 〜「酒井広平講師による『検定試験問題を解いてみよう』シリーズ —3R・低炭素社会検定より—」祝100問記念!〜」でも紹介しています。