2017年9月号 [Vol.28 No.6] 通巻第321号 201709_321003

公開シンポジウム2017での地球環境研究センターの広報活動

  • 地球環境研究センター 交流推進係

国立環境研究所では、毎年環境月間に合わせて、研究で得られた最新の知見を広く一般の方に知っていただくために、公開シンポジウムを開催しています。今年は6月16日に滋賀(滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール)、23日には東京(メルパルクホール)で、「私たちの安心・安全な環境づくりとは—持続可能性とその課題—」をテーマに開催しました。全部で20件のポスター発表のうち、地球環境研究センターは、研究を紹介する3件のポスター発表を行いました。

講演開始前と終了後に設けられたポスターセッションでは、多くの方が研究者の説明を聞き、質問や議論をしてくださいました。

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写真1来場者に研究内容を丁寧に説明しました(滋賀会場)

ポスターセッション会場の一角で、地球環境研究センターは事業の一部を紹介しました。球面スクリーンに衛星観測データを映す「ダジックアース」で、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」が観測した2009年から2012年の二酸化炭素濃度の推移を投影しました。また、民間航空機による大気観測プロジェクト「CONTRAIL」で、航空機に搭載している二酸化炭素濃度連続測定装置の実物を展示し、どのような仕組みで世界各地での大気観測を実現しているのかをわかりやすく説明しました。ダジックアースは地球全体の二酸化炭素濃度の推移がよく理解できると好評で、「都市ごとの排出量などがわかるといい」など、より高い精度を期待する声もありました。CONTRAILプロジェクトについても、来場者から今後観測すべき項目を提案いただいたり、他の国の研究機関もこのような研究をしているかという積極的な質問がありました。

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写真2「いぶき」が観測した二酸化炭素の濃度の推移を投影したダジックアースやCONTRAILプロジェクトのパネルを用いて研究内容を紹介しました(東京会場)

交流推進係の制作物を紹介するコーナーも設けました。2016年11月に発効した地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定の要点と今後の課題について、研究者が5分程度で解説したビデオ「ココが知りたいパリ協定」を視聴いただき、地球環境研究センターニュース2017年4月号まで連載したインタビューシリーズ「地球温暖化の事典に書けなかったこと」をまとめたCGER Reportなど出版物を展示しました。研究所の一般公開で好評な地球環境ぱらぱらマンガ「だんだん温暖化 気温編・降水編・海氷編」や、日差しが強い夏の日のお出かけコーディネートを楽しむ絵本「ぱたぱた絵本」なども紹介しました。研究所の公開シンポジウムでパリ協定に関するビデオや子ども向けの制作物を展示したのは、今回が初めてです。アメリカのパリ協定脱退表明により、最近このテーマがニュース等で取り上げられることが多くなったため、ポスターセッションや休憩時には多くの方がビデオをご覧になったり、「ココが知りたい地球温暖化」などのリーフレットや出版物を手に取ってくれました。来場者は大人だけですが、子ども向けの「ぱらぱらマンガ」や「ぱたぱた絵本」も人気が高く、十分な数を用意したつもりでしたが、足りなくなる程でした。特に、子ども向けに環境関係の出前講座などを行っている団体は興味をもってくださいました。

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写真3パリ協定解説ビデオを見ていただきました(滋賀会場)

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写真4交流推進係の制作物を紹介するコーナーでは、多くの方が興味をもってご覧になっていました(東京会場)

環境問題に関心のある多くの参加者から、パリ協定や地球温暖化について、いろいろな質問をいただきました。地球環境研究センターの事業内容や制作物について説明する私たちも、日々勉強を重ね、展示方法や紹介の仕方など、工夫していく必要があると感じました。

今回初めて公開シンポジウムを開催したびわ湖ホールは、琵琶湖畔に立地し、オペラや舞台芸術などが演じられる劇場です。ポスターセッションが行われたホワイエから見える美しい琵琶湖の景色がとても印象的でした。

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写真5ポスターセッション会場からは琵琶湖の美しい風景をみることができます(滋賀会場)

なお、公開シンポジウム2017の発表内容は、後日、国立環境研究所のビデオライブラリー(http://www.nies.go.jp/video_lib/index02.html)に掲載されます。

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