発表論文

内生的技術変化を考慮した動学的応用一般均衡モデルによる気候変動対策の経済分析:日本経済を対象として

Matsumoto K.

本論文では、内生的技術変化を考慮した動学的応用一般均衡モデルを開発し、気候変動対策の経済影響を分析した。本モデルは日本経済を対象とし、内生的技術変化をR&D投資とそれに伴う知識資本の蓄積として表現する。分析の結果、二酸化炭素(CO2)排出削減のみを行うと技術変化は促進されるが、GDPや家計消費にマイナス影響が見られ、削減量に応じてその影響が大きくなることが示された。しかし、排出削減と同時にR&D投資に対する補助金を導入すると、投資と知識資本の蓄積がさらに進み、排出削減を行った場合でも、行わない場合と比較してGDPや家計消費にプラスの効果が見られる可能性が示唆された。また、感度分析からも同様の傾向が見られることが明らかとなった。

Matsumoto K. (2010) 内生的技術変化を考慮した動学的応用一般均衡モデルによる気候変動対策の経済分析:日本経済を対象として. 地球環境研究論文集, 18, 53-61