グリーンカーテン育て方日誌 いちから始めたグリーンカーテンづくり

6 月3

ネット張

ネット

昨年のグリーンカーテンで問題だったのがネットでした。20〜25mmメッシュという目の細かいネットを一部に使用したところ、いちいちネットを切らないと枝の誘導や収穫もできませんし、台風のように強い風が吹くと、ネットと葉が擦れて葉が傷むということがありました。このため今年はネットの目を100mmメッシュに大きくしました。

そしてネットと同時に改善したのがネットをつるすです。昨年は10mm程度の太さの市販の園芸用の棒を使っていましたが、細すぎたために重みでたわんでしまいました。そこで今年は実験用のラックやフレームなどの組み立てに使われる30mm角のアルミの角材を使用することにしました。しかしこれがグリーンカーテンに使うには少々ゴツ過ぎました。2mの角材を4本使い、連結部分に60cmの支え棒を取り付けたのですが、相当な重量になってしまい、2階のテラスからつり上げるのが大変でした。作業性と強度のバランスを考えると20〜25mmの角材でも十分だったかもしれません。

つり下げには2mmのワイヤーを使い、支え棒を建物の壁に当てて壁とのクリアランスを確保しています。これはネットの上の方の実の収穫や作業をやりやすくするための工夫です。支え棒は上からつるだけではうまく固定できないので、下からも引っ張ることによってネットとともに固定することができました。

ネットの下側はタイルの隙間にペグを打ち込み、それにネットを引っかけて固定しています。こうすることによって成長したゴーヤなどの重みや強い風でもネットが動かず、壁にくっついてネット裏の通路が狭くなることを防いでいます。

6 月4

パッションフルーツ

前日にネットを張り、準備が整ったので、温室に預けてあったパッションフルーツを引き取りに行くことにしました。これは昨年、苗で買ってきたもので、75cmのプランターに2本植えてあります。パッションフルーツは多年生の植物で、冬の気温が5℃くらいまでなら越冬することができますが、つくばでは残念ながら寒過ぎるので、昨年12月にネットを外した際に根本から30cmほどのところで切り、プランターごと温室に入れていました。

越冬中

温室で越冬中(2012年12月)

固定

温室で育ったものをネットに固定

実は温室には他にも一昨年に挿し木をして作った鉢植えが4本ありました。これらは昨春の定植前に原因不明の葉の縮れがあったために一旦は放棄したものですが、その後温室内で成長し、葉の縮れもいつの間にか収まって春先から大きく成長していたため、残りのプランターにはこのうちの1本を植えることにして、合計3本を温室から持ってきました。温室から地球温暖化研究棟前に運ぶ際には、伸びたつるを傷つけないよう気をつけながら運びました。

また、この時、温室の管理人からフウセンカズラの苗もいただいたので、試しにグリーンカーテンの仲間に加えることとしました。

温室

一昨年の挿し木が温室で育ったもの

定植

温室で育ったものをプランターに定植

6 月5

メロンの系統

メロンには2つの系統があるらしく、1つはプリンスメロンのような網目のないなめらかな表皮のもの、もう1つは網目が入っている夕張メロンやアンデスメロンなどのネットメロンと呼ばれるものです。今回チャレンジするニューメロンは前者の網目が無い系統のメロンで、ネットメロンよりは露地栽培に向いているようです。また、育てるのが比較的簡単なので、グリーンカーテンにはプリンスメロンも含めてこの系統の方が向いているようです。

プリンスメロン

2012年のプリンスメロン

ニューメロン

ニューメロン

それにしても今年は最初の苗があまりに細かったので、できるだけ大きくて元気なものをプランターに植え、残りは黒い直径20cmのプラスチック製の鉢に植えてしばらく一緒に育てていたのですが、プランターよりも鉢の苗の方が成長が早くて元気がありました。これは、露地栽培の場合、ビニールのトンネルを作ってその中で育てるか、黒いビニールを土に被せる「マルチング」をして土を暖めて育てるのが普通なので、おそらく黒い鉢の方の土が暖まりやすく、そのために生育が良いのかもしれません。

メロンは比較的寒いところで育つものもあるらしいのですが、発芽に必要な温度は高いようで、普通はハウスで栽培されます。予備知識もあまり持たずにチャレンジし、結果としては数本の苗が生き残りましたので、まぁ良しとしましょう。

6 月10

枯れた

週明けの月曜日の朝、グリーンカーテンの様子を見に行くと、ゴーヤ1本とメロン1本が枯れていました。原因はよくわかりませんが、枯れた苗の周りの土は非常に多くの水分を含んでいたので、おそらく水分量の多さに耐えられなかった苗が根腐れを起こして枯れてしまったものと思われます。

ゴーヤ

枯れたあばしゴーヤ

メロン

枯れたメロン

この時期は定植してまだそれほど経っていませんので、根もそれほど発達しておらず、枝葉もまだまだ小さいため、それほど水を必要としません。

平日の水やりは職員が手で行っています。手間はかかりますが、毎日見ることで例えば害虫にやられていないかとか、病気が発生していないかなどを確認することができます(それでもついつい水の量が多くなりがちです)。

休日については、わざわざ水やりのために休日出勤するのは大変なので、グリーンカーテンを始めた最初の年から市販の電池式自動水やりタイマーを設置しています。このタイマーは、通常は水道の蛇口に設置しておき、指定した時間になるとセットした時間だけ水を供給する仕組みとなっています。例えば9時から5分間とセットすると、9時になると5分間だけ通水します。しかし、天候に応じて水やり時間を調節することはできませんので、雨が降ると、土中の水分量が多くなり過ぎ、根が窒息して根腐れを起こしやすくなります。

なお、枯れてしまった苗の後には、鉢で育てていたメロンを植えることにしました。

6 月12

雨水利用

ここで休日に使用している電池式自動水やりタイマーについて、補足しておきます。

このタイマーは通常、水道の蛇口にセットして用いるものですが、水道水を使うというのはちょっと普通なので、ここではさらに水の供給に工夫を凝らし、雨水利用を考えました。具体的には、屋上の雨どいに取水口を設置し、3階のテラスにおいた桶に雨水を溜め、そこから2階のテラスに設置した自動水やりタイマーに給水するようにしました。これをプランターの近くで10本に分岐し、その先端にある点滴ノズルを各プランターに6~8本挿しています。ただし、全く雨が降らない状況が続くと、桶の水が無くなってしまうので、そのときはポリタンクに水を入れて桶と水道蛇口の間を数回往復しなくてはならなくなり、かなり大変です。

タイマー

2階テラスに設置した水やりタイマー

桶

3階テラスに設置した水源の桶

この方法は、基本的には重力に頼った給水となるので、水道水の場合と違って少々長めに給水時間をセットしてやる必要があります。また、桶の大きさに制限があるので、自動水やりタイマーを利用するのは休日に限っていますが、季節や植物の成長具合による給水時間の調整が難しく、先日のように雨と相まって水のやり過ぎ状態となって根腐れを起こしたり、真夏だと給水量が足りなくて月曜の朝に見てみたらしおれていた、なんていうことがよくありますので、結局は植物の状態を見ながら人の手で給水するのが一番良さそうです。

6 月18

開花

花

温室で既に大きく育っていたパッションフルーツですが、プランターに定植して少ししてからどんどん伸び始めると同時に、小さかった花芽も大きく育っていきました。そして6月18日に最初のを咲かせました。パッションフルーツは別名「クダモノトケイソウ」とも言い、比較的大きな花を咲かせます。そしてしばらくは毎日のように花が咲き、同じつるであれば根本から先端方向に向けて順々に花を咲かせていきます。

花の中で小判のような形のものがおしべで、花の内側に向いています。真ん中の玉のような所から生えているのがめしべです。もともと熱帯の植物だからなのかどうかはわかりませんが、つくば周辺ではなぜかパッションフルーツの花に来る虫がいないので、虫による自然受粉は期待できないようです。このため、人の手で人工授粉をしてあげないと実は付きません。

花

パッションフルーツの花

今日花を咲かせたのは、グリーンカーテンに向かって右端の一昨年に挿し木にした木です。向かって左端の昨年越冬させた木にも大きくなった花芽があるので近日中に咲き始めるでしょう。

パッションフルーツの実は、収穫できるようになるまで受粉後2か月ほどかかるそうです。パッションフルーツは気温25~30℃の時に花を咲かせるとのことなので、つくば周辺だと6~7月と9~10月に花が咲きます。昨年、一昨年は、夏前にほとんど花を咲かず、実にはなりませんでした。秋に咲いた花はいくつか実になりましたが、気温の低下とともに成熟のペースも遅れ、一昨年は年明けの1月にようやく赤く色づいたところで木の方が寒さに耐えられずに枯れてしまいました。昨年は越冬作業のため、実が熟す前に木を切ってしまいました。今年は現時点でたくさんの花芽が育っているので多少は実ができると思います。今から収穫が楽しみです。

6 月25

摘心をする

ゴーヤも順調に育ってだいぶ大きくなってきましたので、そろそろ摘心(てきしん:芽の先端を摘み取ってそのつるの成長を止めること)をしてあげないといけません。なぜ摘心するのかというと、一般的にゴーヤは、親づる、子づるには実があまり付かず、孫づる以下にたくさんの実を付けるからです。そして、グリーンカーテンという観点からも、親づる・子づるをある程度のところで止め、孫づる以下を延ばす方が横方向への広がりが出てカーテンになりやすい、というメリットがあります。

摘心は簡単です。芽の先端部分を手で摘んで取るだけです。芽の部分は柔らかいので簡単に摘めます。ただ、今年は少々失敗をしてしまいました。親づるは摘心したのですが、子づるは結構残ってしまいました。これが後々の収穫にどのように影響するか……ちょっと不安です。

また、先週咲いたパッションフルーツが結実しました。そしてその先でも花が咲いていますので今年は期待できそうです。ゴーヤの雄花やフウセンカズラも小さくて可愛い花を咲かせています。カーテンにはまだほど遠いですが順調に育っています。

実

実と希望が膨らむ?

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