伊藤昭彦主任研究員が第14回日本学術振興会賞を受賞しました

研究業績

「陸域生態系モデルの開発とその地球温暖化研究への応用」

選定理由

陸域生態系モデルとは、光合成、蒸発散、分解等の生態系プロセスをシミュレートする数値モデルである。森林や草原などの陸域生態系は、主要な温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の吸収・放出源であるため、地球温暖化現象を定量的に理解し、その影響や対策効果を評価するためには、陸域生態系モデルが欠かせない。伊藤昭彦氏は、我が国ではじめて陸域生態系における大気との間のガス交換と内部的な物質循環をシミュレートする全球モデル(Sim-CYCLEおよび後継モデルVISIT)を開発した。伊藤氏は、独自の汎用性の高いモデルを用いることで、地球規模の炭素循環や複数の温室効果ガス動態に関する独創的な成果を発表し、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書に引用されるなど、世界の地球温暖化研究に大きなインパクトを与えた。近年では国内外の研究者と精力的に共同研究を進めており、さらなる活躍が期待できる。以上の理由により、日本学術振興会より第14回日本学術振興会賞が贈られた。