News Archives [20051226]
2005 AGU(American Geophysical Union) Fall Meeting ブース展示報告

 去る12月5日から9日までサンフランシスコで開催されたアメリカ地球物理連合(AGU)のFall Meetingでブース展示による活動紹介を行いました。90m四方の展示会場をポスター会場と展示ブースが二分し、出展機関130のうち半数が政府機関・研究機関・大学・学協会関係でNASA(アメリカ航空宇宙局)やNOAA(アメリカ海洋大気庁)をはじめ、カリフォルニア大のScripps海洋研究所などが軒を連ねます。出版社による書籍の割引販売や宝石・鉱物商のお土産屋さんの出展販売もあって、それぞれのブースが整然とデコレートされているので、堅苦しい学会とはうって変わって、祭典のような雰囲気があります。

 国環研のブースは、入り口に近い宝石・鉱物商の隣の人通りの非常に多いところで、多くの参加者が足を止めていました。ブースではモニタリング概要・GOSAT・旅客機利用GHGsモニタリング・同位体標準資料・AGUのNIES関連発表リストのポスターを展示し、CCSR(東大気候システム研究センター)/NIES/FRCGC(地球フロンティア)モデルによる2100年までの気温と降水量変化のアニメーションを投影し、NIES英文パンフとAnnual Report、CGERのモニタリング英文パンフレット、The Future Climate Regime、アジア太平洋統合評価モデル(AIM)、GIO(温室効果ガスインベントリオフィス)の英文報告書、GOSAT(温室効果ガス観測衛星)の英文パンフ等を展示しながら、それらをpdfファイルで1枚に収録したCDをブースを訪問された方に差し上げました。かさばらず持ち帰りに便利と好評で、会期中に約500枚配布できました。また、「ぱらぱらまんが」を簡単な英文解説付きで200部用意したものも全てお持ち帰りいただけたのには、嬉しくもあり少々驚きもしました。内容のデータは万国共通であるのと、グッズとして異国情緒の漢字がうけたのかもしれません。学校の先生で教育の参考にと全4種類持ち帰られた方や、ローカル紙の記者も感心を寄せてくださり持ち帰りました。また、ぱらぱらまんがを展示したテーブルは、循環センター*作成の回収PETボトルをリサイクルした風呂敷で覆うという工夫をしましたが、最終日には希望者に差し上げました。

 今回日本からの出展は研究機関・企業含めて環境研のみ。日本からの学会への参加者はかなりの数に上ると思われますが、このようなイベントへ出展という形で参加することも、米国を含めた国際社会での研究活動のアピールとして、今後も大切であると実感しました。最終日には、地元の中学生が引率者に連れられて見学に来訪、あらかじめ用意してきた質問表に沿って回る子供や、ポリ袋一杯にグッズを貰っていく子供など、会場にそれまでの雰囲気と全く異なる甲高い少年少女の歓声が溢れ、四日間立ちずくめで疲れた顔も思わずほころびました。当日朝の協力要請まで予告がなく、ぱらぱらまんがが完売状態だったのが多少心残りではありますが。

 大きな会場の出入り口は四六時中ガードマンが出入りをチェックしていて、正式なネームプレートがないと全く入れないことに多少の息苦しさがあるものの、四日間、商品が展示されたまま夜間は展示者がいなくなることや、時節柄を考えると、主催者の「24時間安全保障」という謳い文句がきちんと機能していることに感心し、会場の運営は流石と感じました。展示ブースのいずれもが、「美しく見える」ように心遣いされています。大きな音を出すことは禁止されていることもあり、参加者の会話の声が大きなざわめきとはなっていますが、呼び込むような声や鳴り物、音楽といったものはまったくなく、会場全体にある種のコンセンサスがとれていると感じられました。宝石・鉱物の店も例外ではありません。非常に幅広いとはいえ「地球物理」にかかわる人々の集まりで、そのような自然の秩序が形成されているのか、成熟した社会の秩序なのかは不明ですがExhibition=展示、という一つの断面から社会の違いを垣間見た一週間でした。

*)循環センター: 国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター

(勝本・森)

会場入り口写真
モスコーンコンベンションセンターウエスト入り口
開場前の様子。90m 四方の会場の約半分に130機関が出展、研究活動のショウウインドウの感がある。
NOAAとNASAは計18ブース分の面積に華やかに展示
CGER/NIESのブース、左は鉱物・宝石商、右はアラスカ大
最終日に訪れた子ども達の様子