CGERリポート

東アジア植生指数月別モザイク図 —1996年—

概要

1.東アジア植生指数月別モザイク図

このCD-ROMは、国立環境研究所で受信しているNOAA衛星(注1)のAVHRR画像データから計算した東アジア植生指数モザイク図を納めたものである。国立環境研究所では、茨城県つくば市の研究所構内と沖縄県黒島の海中公園センターにNOAA受信アンテナを設置し、1995年1月より衛星データの受信を行っている。この2つのアンテナで観測できる範囲は、北はカムチャッカ半島から南はマレー半島まで、東アジアのほぼ全域に及ぶ。本研究所の情報解析研究室では、東アジアにおける植生の変化を観測するために、受信したデータから毎月の植生指数モザイク図を作成している。今回CD-ROMに納めたのは、このうち1996年1月から12月の各月の植生指数モザイク図であり、以下のファイルが格納されている。

NDVI9601.BMP(1996年1月)~ NDVI9612.BMP(1996年12月)
 CD-ROMにはBMPで納められていますが、GIFの一覧にしたものをこちらからご覧頂けます。

このCD-ROMは、ISO-9660対応のハイブリッドフォーマットで作成されているので、WindowsとMacintoshパソコンで内容を見ることができるようになっている。
Windows標準のペイントブラシ、Imaging、または、それに準ずる機能のアプリケーションが必要である。

2.NOAA/AVHRR画像データ

 NOAA衛星に搭載されたAVHRR(Advanced Very High Resolution Radiometer)センサーは、次のように可視光から熱赤外までの波長域に5つの観測バンドを持っており、植生、雲、表面温度などの観測を行うことができる。

font size="2">Band1:可視光(0.58~0.68μm)
Band2:近赤外(0.725~1.10μm)
Band3:中間赤外(3.55~3.93μm)
Band4:熱赤外(10.3~11.3μm)
Band5:熱赤外(11.5~12.5μm)

AVHRRの地上分解能は衛星直下で約1.1km、観測幅は約2,700kmであり、1日に少なくとも2回、同一地点を観測することができる。現在稼働中のNOAA衛星は12号と14号の2つがあるので、合計で1日に少なくとも4回、同一地点の観測が可能である。

3.植生指数(NDVI)

植生指数とは、植生のスペクトル反射特性から植生の量や活性度を表すために考案された指数である。これまでに種々の植生指数が提案されているが、最も一般的に用いられているのは、次のように定義されるNDVI(Normalized Difference Vegetation Index)である。

NDVI=(NIR-RED)/(NIR+RED)
ここでNIRは近赤外における反射率、REDは可視光の赤の波長帯における反射率であり、NOAA/AVHRRデータにおいては、NIRがBand2、REDがBand1に相当する。

NDVIは、式の形から分かるようにNIRとREDの比率で決まる指数である。植生は、地表面の他の構成要素である土壌や水に比べてこの比率が高いので、植生の量が多いほど、また活性が高いほどNDVIは大きな値を持つ。

NDVIは[-1,1]の範囲の実数値をとるが、本CD-ROMでは収納する数値(INDVI)が1バイトの正の整数値に収まるように、次のような変換を行っている。

INDVI=NDVI×100+110

また、観測範囲外の陸域、及び海や湖などの水域では、INDVI=0とした。

4.植生指数モザイク図

AVHRR画像は通常は相当量の雲を含んでいる。このため、植生指数モザイク図を作る上で問題になるのは、雲の影響をいかに除去するかということである。一般に雲のNDVIは植生のNDVIに比べて小さいので、複数の画像を重ね合わせ、各画像要素においてNDVIが最大のものをとることで雲の影響を除去することができる。今回計算した植生指数モザイク図は、各月毎に200~300シーンのNDVI画像を重ね合わせ、各画像要素において最大値をとることにより、雲の影響を除去したものである。

本CD-ROMに納めたのは、オリジナルの植生指数モザイク図から4画素(2×2画素)ずつの平均値を計算したものであり、地上分解能は約4.4kmである。

注1)NOAA衛星:米国海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration)によって運用されている環境観測衛星。

5.このCD-ROMの使用方法

このCD-ROMは、国立環境研究所で受信しているNOAA衛星のAVHRR画像データから計算した、1996年の各月の東アジア植生指数モザイク図を納めたものです。画像の地上分解能は約4.4kmです。

このCD-ROMは、ISO-9660対応のハイブリッドフォーマットで作成されているので、WindowsとMacintoshパソコンで内容を見ることができます。。Windows標準のペイントブラシ、Imagingまたはそれに準ずる機能のアプリケーションが必要です。

NOAA/AVHRRデータを用いて作成した東アジアの植生指数図データは、植生分布とその季節変化の把握、純一次生産量、バイオマス量、及び二酸化炭素収支の推定などにおいて、基礎的な資料となるものである。