全球データセット情報

土地被覆・植生分類データセット

 京都議定書における吸収源活動は、土地利用(Land Use)の変化を伴うと定義されており、その活動を適切に評価・予測するためには、出来る限り正確な土地利用分類データを用いることが必要となります。しかしながら、衛星データ等のリモートセンシングデータから得られる情報は基本的に土地被覆(Land Cover)であり、土地利用を正確に評価するためには、現地検証情報、国毎の統計データなどの付加情報が必要となることに注意が必要です。

 現在、各国・機関では、全球を対象とした様々な土地被覆・植生分類に関するデータセットが提供しています。これらのデータセットは、利用データ、分類方法、分類クラス、検証方法が異なっており、土地被覆の分類結果も地域によっては大きな差異を生じています。この結果、生態系モデル、炭素循環モデルなどの入力データに異なるデータセットを用いた場合には、出力結果にも大きな影響を及ぼすことが知られています (→モデル研究成果参照)。

 しかし、現時点では国際的に標準化された土地被覆データセットは完成しておらず、利用にあたっては、各データセットの特徴および不確実性を理解した上で、目的に応じたデータセットを利用する必要があります。  以下では、衛星データをベースとして作成された全球データセットのうち、世界的に利用されているデータセットを紹介します。なお、各データセットは無償にて提供されていますが、データの利用権利・著作権は各データセットの提供機関にてご確認ください。


表 全球土地被覆分類データセットの比較

利用センサ AVHRR AVHRR SPOT4 Veg MODIS
利用データ期間 1992年4月~ 1993年3月 1992年4月~ 1993年3月 1999年11月~2000年10月 2000年10月~2001年10月
入力データ 12 Monthly NDVI composites 41 Metrics derived from NDVI & bands 1-5 Daily mosaics of
4 spectral channels & NDVI
12, 32-day composites of 8 input parameters
分類手法 教師なし分類 教師つき分類とデシジョンツリー 原則として教師なし分類
協力機関により異なる
教師つき分類とデシジョンツリー
ニューラルネットワーク
分類区分 IGBP (17 クラス)
他分類へも対応
Simplified IGBP (14 クラス) FAO LCCS IGBP (17 クラス)
他分類へも対応
検証方法 高分解能衛星データの利用 その他データセットの利用 第三者機関による検証
現在も継続中
Confusion matrices, confidence values

 


Global Land Cover Characteristics Data Base Version 2.0(IGBP ver 2.0)

   米国地質調査所(USGS)のEROSデータセンターとネブラスカ-リンカーン大学(UNL)および欧州の共同研究所(JRC)の主導により作成された、全球土地被覆データセットである。1992~1993年のNOAA/AVHRRデータを利用しNDVIの変動パターンにより分類を行っている。現在は、Version 2.0が提供されている。本データセットの土地被覆分類区分はIGBPの17クラスを基本としているが、複数のモデルおよび研究における共通のデータセットとして利用されることを想定しており、以下の複数の分類区分に対応している。
  • Global Ecosystems (Olson, 1994a, 1994b)
  • IGBP Land Cover Classification (Belward, 1996)
  • U.S. Geological Survey Land Use/Land Cover System (Anderson and others, 1976)
  • Simple Biosphere Model (Sellers and others, 1986)
  • Simple Biosphere 2 Model (Sellers and others, 1996)
  • Biosphere Atmosphere Transfer Scheme (Dickinson and others, 1986)
  • Vegetation Lifeform (Running and others, 1995)
参考 IGBP土地被覆分類区分
1 EVERGREEN NEEDLELEAF FOREST
2 EVERGREEN BROADLEAF FOREST
3 DECIDUOUS NEEDLELEAF FOREST
4 DECIDUOUS BROADLEAF FOREST
5 MIXED FORESTS
6 CLOSED SHRUBLANDS
7 OPEN SHRUBLANDS
8 WOODY SAVANNAS
9 SAVANNAS
10 GRASSLANDS
11 PERMANENT WETLANDS
12 CROPLANDS
13 URBAN AND BUILT-UP
14 CROPLAND/NATURAL VEGETATION MOSAIC
15 SNOW AND ICE
16 BARREN OR SPARSELY VEGETATED
17 WATER BODIES
 

 

 本データセットの詳細な情報、データの入手方法は以下をご参照ください。(http://edcsns17.cr.usgs.gov/glcc/)

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Maryland大学・NOAA・AVHRR土地被覆データセット(UMD)

  USGSデータセットと同様に、1992年~1993年のNOAA/AVHRRデータを用いて作成された土地被覆データセットである。本データセットではIGBP-DISの区分を簡素化した14区分の土地被覆分類区分を設定しており、1度メッシュ、8kmメッシュ、1kmメッシュの異なる3つのスケールのデータセットを提供している。

 本データセットの詳細な情報、データの入手方法は以下をご参照ください。(http://glcf.umiacs.umd.edu/data/landcover/)

参考:Maryland大学・NOAA・AVHRR森林被覆率データセット
  1992年~1993年のNOAA/AVHRRデータを用いて作成された森林被覆率(Continuous Fields Tree Cover)データセットである。本データセットは、森林の画素内面積比率および針葉樹-広葉樹の比率を推計したものであり、10%~80%の範囲で値が設定されている(被植生地域および10%以下の森林被覆率の地域はDN値により区分されている)。 以下に凡例を示す。

(森林被覆率)
・10 - 80 percent tree cover
・254 non-vegetated
・255 tree cover less than 10%

(常緑樹・落葉樹、針葉樹・広葉樹の区分)
・ 10 - 80 percent cover for indicated leaf longevity and type (% evergreen + % deciduous = % tree cover; and % broadleaf + % needleleaf = % tree cover)
・ Band interleaving: Band sequential
・ Mask: Sea mask applied=255

 本データセットの詳細な情報、データの入手方法は以下をご参照ください。
 (http://glcf.umiacs.umd.edu/data/treecover/)

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Global Land Cover 2000 (GLC2000)

  同データセットは、1999年11月1日から2000年12月1日に観測されたSPOT/Vegetationデータ(空間分解能1km)を用いて作成された、グローバル土地被覆データセットである。本データセットの作成には、世界約30期間が参加しており、FAOのLand Cover Classification System(LCCS)に基づく土地被覆分類区分が採用されている。

 本データセットの詳細な情報、データの入手方法は以下をご参照ください。(http://www.gvm.jrc.it/glc2000/)

 また、本データセットにて用いている土地被覆区分である「LCCS」の詳細については、以下をご参照ください。(http://www.fao.org/documents/show_cdr.asp?url_file=/DOCREP/003/X0596E/X0596e00.htm)

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MODIS MOD12 Land Cover and Land Cover Dynamics(MODIS)

  同データセットは、2000年10月から2001年10月に観測されたTerra/MODISデータにより作成された土地被覆データセット(空間分解能1km)である。土地被覆分類区分はIGBPの17クラスに基づいているが、UMDや他の陸域MODISプロダクトにて利用されている、LAI/fPAR Biomes、BGC Biomesでも提供されている。本データセットは、定期的に更新される予定であり、最新の土地被覆情報が得られる利点がある。

 本データセットの詳細な情報、データの入手方法は以下をご参照ください。(http://geography.bu.edu/landcover/userguidelc/)

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Copyright(C) Center for Global Environmental Research.