CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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※1 塩竈秀夫・江守正多・鬼頭昭雄 (2014) 産業革命以降の気候変動の検出と要因分析, 日本気象学会・地球環境問題委員会編著「地球温暖化: そのメカニズムと不確実性」, 朝倉書店, 4章, 37-46.観測データとよく一致します(図1)。これは、気候モデルの信頼性を担保する一つの証拠になっています。図1:世界平均地上気温変化(℃)の観測データ(黒線)、自然起源外部因子のみ考慮したシミュレーション(青帯)、自然起源外部要因+人為起源外部要因を考慮したシミュレーション(赤帯)。IPCC第5次評価報告書より。 また人間活動による外部因子の変化を与えずに(たとえば1850年の値を与え続ける)、自然起源の外部因子(太陽活動や火山活動)の観測された時間変化だけを与えた場合、20世紀後半からの急激な気温上昇を再現することができません。これは、過去半世紀の気温上昇に人間活動の寄与があるという評価の大きな根拠になっています(気候モデルを用いない研究でも同様の結論が得られていますが、詳しくは塩竈ほか(2014)※1を参照して下さい)。

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