CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
103/140

 もちろん、天気を知りたい時間から予報を始める時間が近いほど、たとえば30分前から予報したら当たりやすい。1日くらい前だと結構当たるけれども、2日くらい前に、「明後日雨降りそうだから…」といっても、実際気がついたら雨降らなかったね、ということがあったりして、数日先の天気予報は、まだ当たらないこともあるというのが現状だとは思いますね。 数値予報というものは、空気の流れを計算するだけではなくて、雲が生まれて大きくなって雨が降るとか、地面の周りで風が渦巻くみたいな現象をうまく表現してやらないと、どんどんずれが大きくなっていって、1日先、2日先、3日先…とシミュレーションの結果が現実から離れていってしまう。現在の天気予報のシミュレーションは完璧ではないというのが、実際のところだと思います。ありがたいです。(数値予報の精度が上がれば予報は当たるといいながら、「シミュレーションは完璧ではない」とは、話が矛盾しているのでは?と早くも不思議に思う編集局。)編集局:現在の天気予報のほとんどが数値予報を基盤としていると聞いています。数値予報の精度が上がれば天気予報はより当たるようになるのでしょうか。八代:現在の天気予報が数値予報を基にしているというのはそのとおりで、結構前から、気象予報士さんが自分で天気図を描いて予報するよりも、コンピュータに任せたほうがよく当たるようになってきました。気象庁も数値予報モデルをずっと改良しつづけていて、さらに当たるようになった。天気予報の信頼性が昔よりも上がったのは、やはり、数値予報の精度を上げてきたことが一番大きいと思います。編集局:なぜシミュレーションは完璧ではないのか、説明していただけると数値シミュレーションによる天気予報も完璧ではない

元のページ  ../index.html#103

このブックを見る