CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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※3 ある現象をモデル化して、それが微分方程式になったとき、それは「連続」な系なのでコンピュータで直接計算することはできません。そこで、コンピュータで取り扱えるような式(差分式:微分で無限小の極限をとる操作を有限な小さい数で近似したもの)に変換し、時間や空間を細かく分割することによって計算します。これが離散化です。※4 非線形方程式とは、2次以上の方程式のことを指します。なお、1次方程式は線形方程式です。※5 方程式を「解析的に解く」とは、数式を連立一次方程式に変形して四則演算で答えを出すということを意味します。編集局:今回の論文では、時間も空間もかなり細かく区切って計算していらっしゃるということなので、どのくらい細かく区切ったかについて、一般的な区切り方と比べて説明していただけますか。八代:世界中の気象機関の人たちは、大気のシミュレーションをするとき、いろいろなメッシュサイズ(空間的な区切りの大きさ)で計算をしています。たとえば日本の気象庁は、地球全体(全球)について、20kmメッシュくらいで計算しています。でも、日本の周りだけはもっと細かく計算しよを繰り返す必要が出てきます。式変形だけでは、明日の天気がわからないので、コンピュータを使って、数分先とか10分先とかの状態を、順番に計算して積み重ねていくことで、時間を進めていくわけです。そうすると、ずれがあるとそれも積み重なっていき、空間的にもどんどん広がっていくので、2日先、3日先のシミュレーションの結果はさらに大きくずれていく、ということになります。(時間や空間のボックスを細かく区切り、それらを少しずつ積み重ねて時間的・空間的な変化を予測すると、どうしてもずれが生じてしまう。さらに、時間や空間のボックスをどれほど細かく区切っても、そういったずれは出てしまう、ということが理解できたような気がしました。)全球3.5kmメッシュ、1ステップ8秒での計算

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