CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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※7 アンサンブルとは「一緒に、集団で一体に」などを意味する言葉です。インタビューでも触れられていますが、天気の数値予報では、初期値のわずかな誤差が時間とともに増幅するため、ある時刻に少しずつ異なる初期値を多数用意するなどして多数の予報を行い、平均やばらつきの程度といった統計的な情報を用いて気象現象の発生を確率的に捉えること(=初期値アンサンブル)が行われています。※8 データ同化とは、わかりやすくいうと、モデルの計算式に実際の観測値を入力してより現実に近い結果が出るようにすることを指します。おもに地球科学の分野において数値モデルの再現性を高めるために行われています。八代:一般的な風速と点の間隔から計算すればできますが、それだけではなくて、モデルの中のいろいろなノイズを加味して、実際に走らせてみて、ちゃんと安定して走る時間間隔をとることにしています。ときには、何コンマ何秒まで細かく調整する人もいますが、通常はそこまでしないで、60分=3600秒を割り切れる秒数にすることが多いですね。編集局:それにアンサンブル※7計算が加わるということですね。アンサンブルについては、ご存じない方も多いと思いますので、説明していただけますか。八代:先ほど、シミュレーションが完璧ではないという話をしました。では、どのくらいずれるのかを調べる方法として、初期入力データの値をちょっとずつずらして、1日後、2日後などの計算結果を見るというやり方があります。今回、データ同化※8は6時間後で様子を見ているのですが、6時間後のシミュレーションに初期入力の違いがどのくらい出るかを調べて、統計的に、どの程度(単に細かくするのではなく、後の計算のことも考えて、ステップの秒数を割り出すのかと感心してしまいました。)(アンサンブルについては、最近、あちこちで言及されているので、ぜひお聞きしたいと考えていました。)アンサンブルで予測を確率的に把握する

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