CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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編集局:それは、初期入力による結果の「ずれ」がどのくらい出るかというこ八代:そうです。最初の入力値の違いによって6時間後の計算結果が、どのくらいずれているか、ということです。これが初期値アンサンブルという方法です。編集局:今回はどのようなアンサンブルを使用しているのですか。八代:初期値アンサンブルです。同じモデルと、同じ境界条件、同じパラメーそのシミュレーションが確からしいかということを確認しています。とですか。 アンサンブルの方法は、結構いろいろあって、初期値は同じだけれども、モデルのパラメータだけちょっとずらして、結果がどう変わるかを見るという方法もあるし、モデルそのものを複数集めてきて、初期値は一緒だけれども、違うモデルを走らせたら結果がどうなるかを見るものもあります。 気候の実験ではさまざまなアンサンブルを使います。ミップ(MIP)と呼ばれる、マルチモデル・インターコンパリスン・プロジェクト(Multi-model Intercomparison Project)が代表的なものです。CがつくとCMIP(Coupled Model Intercomparison Project)で大気海洋結合系、Atmosphere(大気)だけのAMIP(Atmospheric Model Intercomparison Project)も、Ocean(海洋)だけのOMIP(Ocean Model Intercomparison Project)もあります。Land(土地)に関するLS3MIP(Land Surface, Snow and Soil moisture Model Intercomparison Project)というのもあります。タを使って初期値だけ変えています。(できるだけ正確な予測を出すために、計算する時間と空間をできるだけ細かく区切る、初期値アンサンブルを用いて計算結果を確率的に捉える、といったさまざまな工夫をしていることがわかります。なかでもアンサンブルは重要な役割を果たしているのですが、それがなぜ重要なのかについては、だんだんと明らかになってきます。)

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