CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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江守:予測の難しさ自体がわかるといったらいいのではないかと思いますが…。 編集局:予測の難しさ自体がわかるとはどういうことですか。江守:ある日の天気は、何回計算しても、だいたいあるところに計算結果が集まってくる。ところが、別の日の天気は、何回計算しても、こういう答えも、ああいう答えも出てきてしまう。そういう日の天気は、本質的に、誰がやっても予測が難しい日なのですよ。計算結果が収束してくる日と、計算結果がばらばらになってしまう日とがある。編集局:なぜ、そういうことが起こるのですか。江守:それは、「カオスのアトラクタのどこを通っているか」(P.107のコラ八代:たくさん計算したからといって、正しい答えにたどり着く確率が上が編集局:それはいつも不思議に感じていたことです。今、江守さんがおっしゃったように、ある日は、どこを取っても結果が分散して、標準偏差のグラフにおけるような「山」の形にならない。でも、そうでないときは、幅の狭い一つの「山」の形がクリアに現れる、ということですか。江守:たとえば、ある低気圧があって、もう、明日はこれがこういうふうに動くしかない、みたいな日は、何回計算しても、同じような答えが出てき(まだ腑に落ちていない様子の編集局を見て、江守副領域長が助け舟を出してくれました。)ムを参照)によるんです。るわけではないのですね。予測の難しさはローレンツ方程式(カオス理論)によって証明されている

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