CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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編集局:それはどのような条件によって決まるのですか。江守:その日の気圧配置の特徴で決まります。そういう(結果が幅の狭い一つの「山」の形にならない)日は、たくさん計算しても、晴れという答えと雨という答えが出てきて、結果が一か所にあまり固まらないということではないかと。ぼくは天気予報をやっていないので、これは、ぼくなりのイメージですけれど。編集局:それでは、計算結果が集まってくる場合は、そのモデルが、うまく働いているっていうことを示す。でも、幅の狭い一つの「山」の形がうまく出てこないときは、そのモデルだとこれはうまく出てこない、あるいは、先ほどおっしゃっていたように、カオスのアトラクタの通るところがまずい、ということですか。江守:通る場所がまずいというよりは、たまたまその日がそういう日だということ。たぶん、モデルによって性能の良し悪しはあるけれども、そういう日は、どのモデルでやっても、答えがばらつくんです。編集局:では、モデルは、カオスのアトラクタのどこを通るかによって、う江守:そうです。ただ、それが「どこを通るか」というのは、その日の天気が「たまたまどこにいるか」なんですよ。たりする。だけど、微妙な弱い低気圧があって、それがどっちに動くかわからないとか、こちらに来るかもしれないけれど、来たときに、上空が寒いかどうかによって、天気が変わってくる…みたいな、そういう微妙な日があるわけですよね。 だから、何回やっても結果が固まってくる日は、その天気になる確からしさが高いということが、たくさんアンサンブルをやればやるほど明確になる。まく働く場合と働かない場合があるということですか。

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