CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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※10 フロップス(FLoating-point Operations Per Second: FLOPS)とはコンピュータの処理能力の単位で、1秒間に浮動小数点(※11を参照)演算を何回できるかという能力を表しています。なお、ペタは1015(=1000兆)を意味するので、1ペタフロップスは、1秒に1000兆回演算できることを示します。編集局:気象の場合は条件がどんどん変わるから、うまくいかないというこ八代:そう、次の時間ステップのときの状態を全部引っ張り出してくるには、復計算できます。結果をメモリに書き戻すまでに、もうずーっとCPUで計算するだけだから、60%とか70%とか計算機の性能を使えるのですが…。とですか。もう一回メモリに戻したデータを読んでこないといけないですよね。流体計算はそういうのが多くて、車の近くの風の動きだとか、最近はやりのマスクから飛沫がどう飛ぶか、みたいな計算も、コンピュータの中でのデータの移動が激しい部類に入ります。 計算機は、たくさん計算するための部品を並べれば、それだけ計算性能が上がるから、何ペタフロップス※10って、どんどん上げることができるのですが、性能が上がった分を容易には使いきれないのです。性能が10倍上がっても、使える割合が10分の1に下がってしまうと、結局遊ばせている部品をただ並べているだけなので、意味はないのです。 データの移動は大変で、メモリに0、1で書いてあるものを転送するわけですが、これは、そのまま電力消費に結びつくので、データを移動させればさせるほど電気を食うんです。計算するのももちろん電気を食うんですが、データの移動は、なかなか効率を上げられないのです。

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