CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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八代:たとえば、数日後の倍精度と単精度による結果を比べて、「気圧配置が変わらないか」とか「雨の降り方が変わらないか」とかという視点では大丈夫でした。「台風の進路が、大きく変わらないか」ということについても調べました。編集局:そして、最終的に倍精度にするよりも、アンサンブル数を増やして八代:そうです。やっぱり、解像度が足りないことによる不確実性だとか、アンサンブル数が足りなかったことによる、統計的情報の不足というもののほうが、倍精度と単精度による幅よりも、ずっと大きかったので、計算の精度を落として、計算を速くしてやった分、別なところをよくしたほうが、ずっといいね、という結論になりました。編集局:解像度やアンサンブル数の不足のほうが、シミュレーションの結果八代:そうですね。最近の世界的な傾向として、海外の気象機関でも、積極的に、倍精度ではなく、もう少し精度を落として、計算しようという流れができている感じですね。編集局:本当にいろいろなことに配慮しながら、世界最大規模の気象計算を八代:データの移動ということに関しては、もう一つ付け加えておくことがあります。今回の計算は、シミュレーションをやって、データ同化をして…というようなセットになっていますが、シミュレーションのプログラムとデータ同化のプログラムは別です。補ったほうがいいという結論に達した、ということですね。に与える影響が大きいということですか。実施したのですね。 先ほど、1000個アンサンブルがあって、その結果を使って、データ同化するといいましたが、1000個のアンサンブルの結果のデータのサイズが大きすぎて、一度ファイルに書いてやらなければなりませんでした。CPUよりもメモリからデータを転送するほうが、時間がかかりますが、ファイルか

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