CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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※13 日本でも、北海道石狩市に再生エネルギー100%で運用するデータセンターの建設が予定されています。江守:せっかくなので、もう一つ質問を。最後のコンピュータの未来の話で、八代:電力問題は難しいですね。たくさん計算をする以上、電力を減らすのはとても大変ですが、コンピュータをつくる側の人たちは、いかに省エネにできるかを突き詰めています。コンピュータを置く施設をつくる側の人も頑張っていて、データセンターを寒いところに置くというのは、最近世界的にもはやりです。さらに今後再エネが安くなってくれば、再エネの比率もより上がってくるのではないかなと思いますね※13。でも、それには大きな方針転換をしないと難しい。 そして、方針転換が行われた場合、シミュレーションモデル側は、それについていかないといけないのです。ついていかないと、あとは取り残されるしかない状態になる可能性があって、それがすごく不安な点でもある。だから10年後のことを考えて、今からいろいろなことを試すということは、必要になるんじゃないかなと思っています。こういうことを気にしている人は、国内でもあまり多くないので、引き続き研究していこうと思っています。 もう一つ、今回は天気予報の風速だとか気温だとかについてのデータ同化を行ったのですが、これをさらに、温室効果ガスだとか、エアロゾルだとかのデータ同化に広げていこうと思っています。今、衛星観測センターに所属しているのは、特に衛星データを同化に使うことが大事だからです。さらに、「富岳」を使った文部科学省の「成果創出加速プログラム」という研究課題が令和2年度から3年間の期間で進められています。ぼくもこの研究にテーマリーダーとして携わっています。電力が大変だという話ですけれども、たとえば、寒いところにサーバを置いて、冷却用の電力を抑制する可能性があるのかなと思うのですが、それについてはどのようにお考えですか。電力問題の落としどころは、実際どうなっていくのでしょうか。

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