CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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※1 小倉 (2010) 気候のシミュレーションはどんな結果でも出せる? ココが知りたい地球温暖化, https://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/25/25-1/qa_25-1-j.html 地球温暖化の研究の中でシミュレーションが果たす役割の一つに予測があります。例えば、人間活動による温室効果ガスの排出が増えたら気候はどう変わるか、あるいは、気候変化が自然環境や人間社会にどのような影響を及ぼすか。こうした問いに答えることはいずれも予測であり、シミュレーションが重要な役割を果たします。では、どのようにして答えるのでしょうか。 気候予測の場合、予測の対象となる大気や海洋、陸面の状態を温度、風速(水平方向、鉛直方向)、水蒸気量等の変数で表します。そして、これらの変数の値が温室効果ガスの排出量によってどのように変わるか、物理法則の方程式に基づいて近似的に計算します。計算が膨大な量になるため、スーパーコンピュータの力を借ります。具体的には、計算の手続きを記したコンピュータプログラムを作成し、そのプログラムに書かれた指示通りにスーパーコンピュータを動作させて計算を行います。ここで使用されるプログラムは気候モデルと呼ばれます。 このような方法で将来予測を行う際に避けられないのが不確実性の問題です。気候モデルの作り方にはある程度の任意性があります(どのような理由で任意性が生じるかについては小倉(2010)※1を参照下さい)。このため、作り方によってモデルA、モデルB、モデルCという具合に複数の異な01気候予測シミュレーションにおける不確実性小倉知夫気候予測シミュレーションにおけるモデル間相互比較の役割

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