CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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図3:全球14kmの高解像度グリッドのNICAM-Chemで計算をしたエアロゾル光学的厚みの分布(Goto et al., 2020)※7。理化学研究所の京コンピュータを使って、シミュレーションしました。エアロゾルの通年シミュレーションとしては、世界最高解像度レベルの結果になります。色の違いがエアロゾルの量の違いを示しており、地球上にはエアロゾルが複雑に混ざり合って存在していることがわかります。解像度シミュレーションの3年間積分を実施しました。地球スケールで計算をした全球シミュレーションですが、「日本付近の空気」を計算する領域シミュレーションと同程度の細かい解像度で計算できました(全球高解像度シミュレーション)。その結果、人間活動が盛んな都市域やバイオマス燃焼が起こっている世界中のさまざまな地域でのエアロゾル分布を細かく再現することができました。また、空間スケールが数十kmの雲も再現できています。このような高解像度でシミュレーションができたことは、非常に大きな進歩です。 このような高解像度の計算は、京コンピュータのような大規模なシステムを使って初めて実現できた大掛かりなものです。しかし、スーパーコンピュータが非常に発展してきたとはいえ、誰もが京コンピュータのような超大型スーパーコンピュータを自由に使える訳ではありません。また、このシミュレーション結果には改良の余地があり、より現実に近い大気汚染の分布を再現できるシミュレーションを行うために、更に何十回もの試行錯誤の

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