CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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※1 Nakayama, T. (2012) Development of process-based NICE model and simulation of ecosystem dynamics in the catchment of East Asia (Part III). CGER’s Supercomputer Monograph Report, 18, NIES, 98p.,https://cger.nies.go.jp/publications/report/i103/ja/ 地球規模での気候変動にともなう降水量の偏りや急激な経済成長や人口増加等により、世界各地で水資源の枯渇や水質悪化が深刻になっています。このような環境資源の劣化に対して、生態系機能を定量的に評価したり予測したりして、持続的発展のための科学的根拠に基づいた政策提言をおこなうことは非常に重要です。特に、東アジア地域は急激な経済成長の一方で地下水位低下や水質汚濁などをはじめとする環境劣化もいちじるしく、抱える水問題もきわめて多様であり、複雑な様相をおびています(Nakayama, 2012)※1。 水問題は、資源的側面のみならず、水の循環的な面にも目を向ける必要があります。また、それに付随する生態系も考慮しなければなりません。これらの機能を適切に評価し、管理するためには、地表水や地下水流、水の農業利用や工業利用を把握するだけでなく、水量・水質・熱の問題、適切な環境管理技術など、多岐にわたる問題の要素を押さえ、その側面や特性にも配慮した総合的な取り扱いが肝要です。 近年、生態系の劣化にともない、人間生活に必要な供給サービスとしての水資源の枯渇に拍車がかかっており、国連環境計画(United Nations 01水資源・水循環の地域的な偏りから見えてくる生態系の劣化中山忠暢シミュレーションによって見えてくる水の流れ生態系モデルのグローバルな適用に向けて

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