CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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図3:マイクロプロセッサのトレンドの推移。上から、トランジスタ数、単スレッドでの整数演算処理性能、周波数、消費電力、論理コアの数。(出典:K. Rupp博士 https://github.com/karlrupp/microprocessor-trend-data)からすごい」といわれるようになりました。 もう一つ、CPUの性能を決める要素として重要なのが、SIMD(Single Instruction Multiple Data)演算、あるいはベクトル演算と呼ばれるしくみです。一回の機械語の命令で、同時に複数のデータを処理できる方が、電力性能が高く演算速度を高めることができるのです。これによって、コアあたりの演算性能も年々向上してきました。 そして、計算を実行する速度の他にもう一つ、コンピュータの性能を決める重要な要素があります。それはデータの移動速度です。 一般的に、データを高速で移動させるデバイスは高価です。そのため、容量をあまり多く確保できません。つまり、速いと容量が小さい、容量が大きいと遅い、ということです。前者の代表格はメモリ、後者ならハードディスクドライブ(HDD)です。CPUの中にはメモリよりもさらに高速で小さなキャッシュメモリと呼ばれる一時記憶領域があります。 さて、ここで問題が浮上しました。現代のスパコンにおいて、計算の処理速度を上げるには「並列」が重要だと先程申しましたが、並列に処理するため

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