CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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写真2:世界にある大きなダムの一例(トルコ東部Ataturk Barajıダム:総貯水容量487億トンは世界で20番目くらいに大きな貯水池。左側に見えるのが発電施設。発電し、沈砂させた後の水をトンネルと通じて送水しています。国立環境研究所花崎直太氏提供)。MIROC-INTEG-LAND では、この写真のように大きなダムが地表付近の水の分布を変える効果を表現しています。 開発されたモデルは、これまでの気候モデル MIROC の陸面部分を計算するモデルに、灌漑やダム操作を扱うモデル、作物成長モデル、土地利用モデル、陸域生態系モデルを結合させたものです(図1)。ここでモデルの「結合」とは、異なるモデルを同時に実行させ、必要なタイミングであるモデルの結果を別のモデルに与えることを意味します。 図1は、MIROC-INTEG-LAND を構成する個々のモデル(サブモデルと呼びます)と、サブモデルの間でやり取りさせる変数を示しています。これまでの研究では、それぞれのサブモデルが単独で将来の予測を行っていましたが、MIROC-INTEG-LANDではこれらを結合させることによって、それぞれの要素の変化を相互作用させることが可能となります。 MIROC-INTEG-LANDは全球を緯度経度1度程度に分割し、それぞれの場所で図1に示された内容の計算を行います。気候・生態系・人間活動に関わる複雑なプロセスを計算するためには、高性能な計算機が必要です。このた

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