CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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 水資源は私たちの生活や社会に不可欠です。現在の日本では、水資源の不足に直面する場所や期間は限られています。しかし、地球全体では、水利用は増え続けており、気候変動の進行も合わさって、世界のさまざまな場所で深刻な水問題が起きています。そんな中、世界の水資源と水利用を分析するためのコンピュータプログラム、全球水資源モデルH08の開発を行ってきました。H08は世界の陸地を50km程度の格子に区切り、それぞれの格子で河川や地下水などの水循環、農業・工業・生活用途の水利用、主要ダムの貯水や放流などの水管理を日単位で計算することができます。この特徴を活かして、これまでに世界や地域の水問題に関わる数多くのシミュレーションを行ってきました。 ここでは最近取り組んだ3つの研究をご紹介します。なお、この原稿はそれぞれ約10年前と5年前に発表した解説記事「世界の水資源のコンピュータシミュレーション(https://www.nies.go.jp/kanko/news/29/29-3/29-3-03.html)」と「続・世界の水資源のコンピュータシミュレーション(https://www.nies.go.jp/kanko/news/34/34-4/34-4-03.html)」の続編の位置づけです。また、約5年前に行われたインタビュー「地球温暖化の事典」に書けなかったこと18 水資源・水利用研究の最前線—モデル・適応・観測—(地球環境研究センターニュース2016年12月号)とも内容がよく対応しています。01はじめに世界の水利用の水源を求める世界の水資源のコンピュータシミュレーション その3花崎直太

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