CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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 成層圏の高度約15~30kmで大気中にオゾン(O3)が多く含まれる場所がオゾン層と呼ばれています。オゾン層は太陽からの紫外線を吸収し地球上の生命を保護する役割を果たしていますが、1980年代以降、南極域でオゾン層が薄くなって上空(宇宙)から見ると穴が開いたように見える領域(オゾンホール)が現れるようになり、人体への健康影響が懸念されるようになりました。成層圏オゾンは太陽紫外線による化学反応(光化学反応)によって酸素から生成されるため、太陽光が強い赤道域で主に生成され、成層圏で赤道域から極域に向かう大気の循環によって中高緯度域に運ばれます(図1)。図1:成層圏(点線より上)で赤道域から極域に向かう大気の循環(矢印)。赤道付近で生成されたオゾンが大気の循環で中高緯度域に運ばれることがわかります。陰影はオゾン濃度を表し、濃い色ほどオゾンが多いことを意味します。WMO (2014)のFigure 4-7を元に作成。01オゾン層のシミュレーションについて気候モデルから化学気候モデルへスーパーコンピュータが可能とするオゾン層年々変動の解析山下陽介

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