CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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 近年では、モントリオール議定書に始まる国際的なオゾン破壊物質の生産・排出規制が成功し、オゾン層は長期的には回復の兆しが見えています。しかし、波活動が不活発になり北極域でPSCが発生するほどの低温が継続した2010~2011年や2019~2020年の冬季には、春先に南極のオゾン破壊量に匹敵するような大規模オゾン破壊が起きました(図2)。(a)2020年3月のオゾン全量    (b)2020年3月のオゾン全量偏差(c)2011年3月のオゾン全量    (d)2011年3月のオゾン全量偏差図2:2011年3月と2020年3月の北半球オゾン全量とその偏差。偏差は1997~2006年に対して計算されています。(出典:気象庁HP、https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/ozonehp/diag_o3np.html) オゾン全量は、地上から大気上端までのオゾンを全て地上付近に集めた場合にどれくらいの高さになるかを表しています。高さはドブソン単位(DU)で、1mmが100DUと定義されています。ここでは、DUではなくm atm-cmと表記されています。

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