CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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図3:QBOに伴う赤道域の高度50hPaの東西風速(m/s)を横軸に、太陽活動の11年周期の指標を縦軸に取り、TOMS/OMIの衛星観測で得られた3月のオゾン全量を黒丸内の色で示したもの。QBOが西風相、太陽活動が極小期のケースでは、他の3ケースと比べて相対的にオゾン量が少ない年が多いことがわかります。QBOが西風相または東風相の基準を満たし、太陽活動が極小期または極大期の基準を満たす場合を白、QBOか太陽活動のどちらかが基準を満たさない場合を灰色で表示しています。 このように春先のオゾン量が少なくなった要因をどのように調べたらよいでしょうか。オゾンの反応と輸送を計算できるCCMを用いると、オゾンが大気中の風によってどのように輸送されるのかをコンピュータの中の地球で再現することができます。さらに、大気中で化学反応を起こさないオゾンが存在するという仮想的な条件の下でもオゾンの輸送を計算することが可能で、化学反応が計算されているオゾンと比較することで、化学反応と輸送によるオゾン量の変化を区別できます。 その結果、輸送による変化が化学反応による変化を大きく上回り、春先の3月における化学反応による変化は全体の1~2割程度であることが明らか

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