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中核研究プロジェクト3 気候・影響・土地利用モデルの統合による地球温暖化リスクの評価

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〔平成18年度の成果の紹介〕

近い将来(今後20年)の間に、真夏日や熱帯夜が増える確率はどのくらいだろうか?

 年々の自然変動の不確実性を考慮した近未来の気候変化予測のための予備的解析として、初期条件の異なる10本の近未来予測実験を行い、特に極端現象の出現頻度に注目して解析を行いました。大規模な火山噴火が無いなどの条件下で、気候の自然変動の不確実性を考慮しても、今後25年程度の近未来に陸上のほぼ全域において夏季の極端に暑い夜の日数が増えることなどが予測されました。

「暑い夜(日最低気温が1951年-1970年夏季の上位5%に入る日)」の発生頻度の変化予測

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「暑い夜(日最低気温が1951年-1970年夏季の上位5%に入る日)」の発生頻度の変化予測

 上図は「暑い夜」の発生頻度が1951年-1970年平均と比べて何倍になるかの予測で、10本の予測実験の平均で示しています。

「暑い夜(日最低気温が1951年-1970年夏季の上位5%に入る日)」の発生頻度の変化予測

 上図は10本の予測実験のうち何本で「暑い夜」の発生頻度が増えると予測したかで、気候の自然変動を考慮した時の「暑い夜」の発生頻度が増える確率を示しています。

21世紀中、人類は必要なときに必要な量の水資源を得られるのだろうか?

 国立環境研究所と東京大学で開発された全球統合水資源モデル(下図)を利用して、世界の水資源のシミュレーションを行いました(IPCC SRES A1Bシナリオによる将来の社会・経済・温室効果ガス排出シナリオを利用)。

 
全球統合水資源モデル
全球統合水資源モデル
十分な水資源を得られない地域に住む人口の推移

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十分な水資源を得られない地域に住む人口の推移

 上図は、十分な水資源を得られない地域に住む人口の推移を示しています。A1Bシナリオでは世界の総人口は2050年まで増加し、以降減少しますが、水資源が非常に逼迫する地域に住む人口は、21世紀前半に人口増加とともに上昇し、21世紀の後半、世界の総人口が減少に転じた後も、すぐには減少しないことがわかりました。

東アジアの植物はどれだけ光合成で炭素固定しているのだろうか?

 森林などの陸上植物は、光合成によって大気CO2からバイオマスを生産します。その量を正確に求めることは、森林の木材生産だけでなく、温暖化対策を考える上でも重要です。生態系モデル(Sim-CYCLE)を用いれば、私たちが住んでいる東アジア地域の光合成生産力をマップにすることができます。

東アジア地域の現在の純一次生産(NPP)

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東アジア地域の現在の純一次生産(NPP)

 上図は、Sim-CYCLEで推計された東アジア地域の現在の純一次生産(NPP)を示しています。この図から、西南日本のような温暖な地域の森林は、内陸の草原や北方の森林と比べて高いCO2固定能力を持つことが分かります。

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