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中核研究プロジェクト3 気候・影響・土地利用モデルの統合による地球温暖化リスクの評価

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〔平成19年度の成果の紹介〕

われわれが生きている間に、森はどの位減少するのだろうか?

 農地への転換により森林がどの地域でどの程度減少するか、植林はどの地域で行われるかを予測するため、経済モデルと空間情報を利用して全世界の森林の増減を推定しました。その結果、先進国で植林が行われる一方、熱帯雨林が減少することがわかりました。

2000〜2030年の森林から農地への転換

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2000〜2030年の森林から農地への転換

上図は2000年から2030年の森林伐採と植林の地域を表しています。伐採や植林の強さは、緯度経度0.5度(赤道付近で50km四方)の中での面積で表しています。SRES B2シナリオとA2シナリオでは、熱帯雨林が減少することは一致していますが、その分布が異なります。

近い将来(2030年まで)の間に、降水量はどのくらいかわるのか?

 気候の自然変動の不確実性を考慮した近未来の気候変化予測のための予備的解析として、初期条件の異なる10本の近未来予測実験を行い、特に「年平均降水量」と「極端な降水(年間で4番目に多い日平均降水量)」に注目して解析を行いました。高緯度と熱帯では、数十年規模の自然変動によらず、降水量の増加が予測されました。一方、亜熱帯では、自然変動によって降水量変化の符号が変わり得ることがわかりました。

 
「年平均降水量」と「極端な降水」の近未来変化予測

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「年平均降水量」と「極端な降水」の近未来変化予測
 上図は、(左)年平均降水量と(右)極端な降水の強さが、1951-1970年平均に対して2011-2030年平均で何%変化するかの予測で、10本の予測実験の平均で示しています。
 下図は、10本の予測実験のうち何本が、平均予測と同じ符号の変化を予測したかを示しています。青色は降水の増加を予測した実験が多く、逆に赤色は降水の減少を予測した実験が多いことを示します。また緑色は、数十年規模の自然変動の為に、降水が増加するか減少するかが不確実であることを意味します。

気候変化により米の収量が減少する確率はどのくらいだろうか?

 気候変化の影響を評価する際に、将来気候予測の不確性を考慮することはとても重要です。そこでわれわれはこの不確実性を考慮するために、世界中の大学や機関で作成された18の気候モデルの将来気候予測を用いて、気候変化により米の収量が減少する確率を算定しました。その結果、アジアの広い範囲に渡って、米の収量が減少する確率が高いことがわかりました。

気候変化により米の収量が減少する確率
(A1B;2020s-1990s)

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気候変化により米の収量が減少する確率

 上図は気候変化により、1990年代に対し、2020年代の米の収量が減少する確率を示しています。西日本、中国南部、インドシナ半島、インドにおいて収量が減少する確率が高いことがわかります。将来排出シナリオとしてはSRES A1Bを使用しています。CO2施肥効果は考慮されていますが、2020年代においてその効果は小さいです。

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