2012年2月号 [Vol.22 No.11] 通巻第255号 201202_255003
気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)および京都議定書第7回締約国会合(CMP7)報告 3 展示ブースの開設および会合参加に関する支援
1. はじめに
COP17/CMP7は南アフリカのダーバンで開催されました。サッカーのワールドカップに続く招致となり、主催者としての意気込みが感じられる会議でした。アフリカらしく、また環境に関する会議らしく「緑」があふれた会場で、色鮮やかな衣装を身にまとう現地ボランティアたちの活躍も輝いて見えました。
そのCOP17/CMP7において、企画部国際室は展示ブースの開設と運営を行ったほか、国立環境研究所(NIES)が主催するサイドイベントの開催や会合参加に係る登録等事前準備に関する支援業務を担当しました。
2. 展示ブース
NIESのブースは会議期間の第一週に開設され、会場を訪れる各国の政府代表団やNGO、メディア等に対する広報活動のために運営されました。ブースでは、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)によって得られた観測データやスーパーコンピュータを用いた気候変動予測の結果など、地球温暖化を中心としてNIESの研究活動を紹介しました。設置した2台のモニターに映し出される研究成果の映像は来場者の注目を集めました。成果を全部映すのではなく、「来場者の足を止めることのできる」映像を選ぶことが重要だと感じました。また、NIESに関する資料を集めたコンパクトディスクを来場者に配布しました。「冊子類は重くてかさばるのでコンパクトディスクは助かる」という感想がしばしば聞かれました。「モニターで映している映像が入っているか?」という質問も沢山頂きました。
3. 各種支援
展示ブースのほかにも国際室として各種の支援業務を実施しました。NIES開催のサイドイベントでは、開催準備の支援を行ったほか、中根英昭審議役(兼・国際室長)がNIESを代表して開会の挨拶を述べました。
また、会議事務局との連絡窓口として参加者登録や催事申請の任務を実施したほか、宿舎手配なども支援しました。政府代表団支援などさまざまな形態で今回は合計12名がNIESから現地入りしました。そこで、NIES参加者に対して適宜声をかけて状況確認に努めるなどを心がけました。展示ブースは、展示の機能だけではなく、NIESからの参加者の「本部」のような役割を果たせたと思います。
さらに、企画部広報室や環境情報部情報企画室と協力のうえ、COP17におけるNIESの活動を速報としてホームページで公開したほか、国立環境研究所ニュースにも記事を提供しました[注]。
4. むすびに
以上のように、研究機関としてCOP/CMPの場でNIESは多様な活動を展開しました。国際室はその中で全体調整役を務めました。気候変動に関する国際的な枠組みが流動的であるのと同様に、COP/CMPへのNIESの関わりかたも時とともに変わってゆくはずです。さまざまな関係者の知恵を結集して、よりよい貢献や発信のあり方を探っていくことがますます大切になると考えられます。
脚注
- NIESホームページ http://www.nies.go.jp/event/kaigi/cop17/index.html
- 国立環境研究所ニュース(2012年2月号) http://www.nies.go.jp/kanko/news/30/30-6/30-6-05.html
COP8〜COP17:変わったこと、変わらなかったこと
政府代表団の一員として参加したCOP8。正式にNGO登録し、国立環境研究所として初めてブース展示したCOP10。それ以来、7年ぶりのCOP参加であった。その頃に会議で一緒になった日本の参加者と、「あの頃と変わっているのか、変わっていないのか」という話をした。変わっていないことは沢山ある。しかし、この間のグローバル化の進行やリーマンショックを経た変化、そして「新興国」の存在が大きくなったことによって、「先進国」と「発展途上国」とに二分し、それを前提に議論したり交渉したりすることへの「違和感」がますます大きくなってきたように思う。米国も欧州も、中国などの新興国も、そして日本も、内に「先進国的な」産業などをもって競争しつつ、内に「途上国的な」貧困と格差を増大させている。だからこそ、「公式の政府レベルだけでない、民間や研究レベルでの対話促進」(西岡秀三「気候政策のもろさを垣間見たCOP8」地球環境研究センターニュース2002年12月号)がますます重要になっている。これは、「変わらないこと」である。それを実感したCOP17であった。