2014年11月号 [Vol.25 No.8] 通巻第288号 201411_288006

落石岬ステーションにおける若手事務職員実地研修と大地みらいフットパス・ウォークへの協力

  • 地球環境研究センター 大気・海洋モニタリング推進室長 町田敏暢
  • 地球環境研究センター 主幹 福澤謙二
  • 総務部会計課契約第一係 田中有紀子

国立環境研究所に2011年から2014年にかけて採用された事務系職員の研修が、地球環境モニタリングステーション落石岬(落石岬ステーション)において2014年9月26日から27日にかけて行われました。当日は、5人の若手事務系職員に対して、研究施設の概要を理解し、市民の皆さまへの説明の方法などを習得するための研修を、筆者らが対応しました。また、2日目の9月27日には落石岬ステーションの地元である北海道根室市を中心とした市民が参加する、第10回大地みらいフットパス・ウォークが落石岬を巡るコースで開催されました。地球環境研究センターではこれを落石岬ステーションの役割について地元の方の理解を深める良い機会ととらえ、落石岬ステーションにおいて参加者の見学会を実施することとしました。さらに、施設維持活動の一環として積極的に協力することとしている地元イベントへの対応をこれから研究所の運営に携わる事務系職員に体験してもらいました。この経験は観測に理解をいただいている地元の方の生の声を聞く機会となるので今後の仕事の参考となるはずです。フットパス・ウォークでは100人以上の参加者に落石岬ステーションを見学(1日の落石岬ステーションの訪問者としては過去最高)していただき、観測の意義や観測成果を理解していただくことができました。わずか30分程度の短時間にこれだけ多くの参加者を効率よく誘導できたのは、5人の頼もしい事務系職員の機転の効いた誘導のおかげだと思っています。研修およびイベント対応の詳細は以下の事務系職員の報告をお読みください。

(町田・福澤)

遠隔観測ステーションにおける実地研修報告

9月26日から27日にかけて、事務系職員大型施設等実地研修として国立環境研究所の落石岬ステーションを訪れる機会を頂きました。今回研修に参加した私達5人は、総務部や企画部などの管理部門に所属しており、普段はつくば市の研究所内で事務に携わっています。遠隔地にある施設を訪れるのは全員初めての経験で、到着した26日の夕方に、地球環境研究センターの町田室長と福澤主幹から落石岬ステーションでの観測内容などについて説明を受けました。落石岬ステーションの重要性から各観測装置の仕組みに至るまで、内容は盛り沢山でしたが、自分の目で現場を確認でき、研究所の活動を普段以上に身近に感じることができました。

そして、翌27日のフットパス・ウォークでは、フットパス・ウォークに参加しつつ今回初めて訪れた落石岬ステーションへの見学対応をしなければなりません。地元の生の声を聞けると期待が膨らむ一方、質問への対応や誘導が上手くできるだろうか、という不安もありました。ともかく、まずは研究所を知ってもらえるよう努力しようと、研究所のパンフレットや研究説明用パネルなどの事前勉強や安全で円滑な見学会とするための準備に、全員で臨みました。

緊張ぎみに迎えた27日は天気に恵まれ、根室周辺を中心に全国から100人を超える人がフットパス・ウォークに参加しました。見学会では、事務系職員が誘導係を務め、何回かに分けて参加者の皆さんをステーション内へ案内しました。建物内では、町田室長と福澤主幹から観測内容等について説明が行われ、参加者が興味深そうに耳を傾けていました。

この間、つまり、次に建物内へ入る方々の待ち時間が、私達にとって最も重要な時間でした。参加者から多くの声を聞くことができたのです。「あの鉄塔は何?」とか「この岬が、研究に役立つ貴重な場所とは知らなかった」などの質問や感想を頂き、地元の方々の関心の高さを肌で感じることができました。また、見学を終えた方からは、「今回初めて観測のことを知った」「他にも説明を聞ける場はあるのか」といった声が聞かれ、こうした説明の機会を設ける必要性を、実感することとなりました。

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写真1(上)見学会にて。短い時間で大勢の方に見学して頂くため、必死に誘導中。(下)NIESエコバックに入れたパンフレットの配布も忘れずに! この間、参加者から質問などたくさんのお声を頂きました

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写真2町田室長から、観測内容を説明。参加者は熱心に耳を傾けていました

見学会は研究所のことを知って頂く場でしたが、私達にとっては見学対応自体が、ステーションを取り巻く地域・環境を知る貴重な機会でした。フットパスでは随所で関係者や参加者からお声を頂き、自然の雄大さと同時に、現地の方々の温かさを感じました。また、研修の最後に訪れた納沙布岬では、北方領土の歴史について北方館の館長さんから解説を頂き、関東では感じる機会の少ない領土問題を意識するきっかけとなりました。研究所の観測も、平和あってこそ成り立つ活動であると、強く印象づけられたように思います。

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写真3研修最終ポイントの納沙布岬にて。天気が良く、北方領土の複数の島を肉眼で確認できました

初めて訪れた根室、落石では、天の川の浮かぶ星空や鹿の群れに感激したり、9月とは思えない空気の冷たさに驚いたりと、つくばから遠く離れた場所であると気づかされる瞬間がありました。一所に納まらず活動を展開していくことが、「環境」をテーマに掲げる研究所にとって、とても大切なことであると再認識できました。二日間という短い時間でしたが、国立環境研究所についての理解も深まり、非常に密度の濃い研修となりました。今回学んだことを胸に、より広い視野をもって業務に取り組んで参りたいと思います。

(田中)

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