NEWS2022年8月号 Vol. 33 No. 5(通巻381号)

副領域長就任にあたって

  • 谷本浩志(地球システム領域 副領域長)
谷本浩志

2022年4月より、地球システム領域の副領域長を拝命いたしました。松永衛星観測センター長、江守上級主席研究員と一緒に三枝領域長を補佐するとともに、領域に所属する8研究室の室長、地球環境研究センターの3推進室、2オフィス、1連携研究グループの室長、マネージャー、グループ長とも協力して、より良い領域の運営にあたってまいりたいと思います。

就任にあたり、改めて地球システム領域を俯瞰すると、地球システム領域は研究職員が48名、行政職員が1名、特別研究員をはじめとする研究系契約職員が26名、そしてその研究活動を支援する高度技能専門員とアシスタントスタッフが89名からなる合計164名の大所帯です(人数は2022年6月現在)。地球システム領域を中心に行っている活動として、前身の低炭素研究プログラムの後継として2021年度から開始した戦略的研究プログラムの「気候変動・大気質研究プログラム(正式名称:気候と大気質の安定化に向けた科学的基盤を与える研究プログラム)」、地球環境研究センターが1990年より継続している大気・海洋・陸域の環境変動に関する長期モニタリング事業やデータベース事業、衛星観測センターが行っている温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)シリーズの事業があります。

このように、「地球」という言葉と相まって、大きなことをやっている「派手な」印象のある地球システム領域ですが、見かけだけでなく中身がぎっしり詰まったものであることをこの機会にお伝えしたいと思います。

研究者は、個人の発想に基づく基礎研究から、所内外の研究者とタッグを組んで行う環境政策に貢献する研究まで、幅広く行っています。こうしたサイエンスを支えるインフラストラクチャーとして長期の事業及び大規模な事業を推進しています。また、日本国の温室効果ガス排出量の算定といった大きな責任を負う事業に加え、昨年度からは排出インベントリの研究と実務をつなぐ連携研究グループ(https://esd.nies.go.jp/ja/about/organization/inventory/)といった野心的な試みも始まりました。グローバル・カーボン・プロジェクト(Global Carbon Project: GCP)国際オフィスに代表されるように、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change: IPCC) 、世界気象機関(World Meteorological Organization: WMO)や国連環境計画(United Nations Environment Programme: UNEP)、北極評議会といった国際機関・組織、フューチャー・アースやその関連プロジェクトといった国際的な研究活動やコミュニティサービスへの積極的かつ実質的な貢献もなされています。

そこで、副領域長の役目として、所属する多くの優秀な研究者の個人個人が常に全力でベストパフォーマンスを発揮できるよう努めること、地球システム領域の能力を集合体として発揮しさらに高めること、そして、将来のリーダーとなる若手研究者に多くの経験をしてもらうこと、の3点を意識していきたいと考えています。

研究所は研究成果を挙げてこそ存在意義があり、研究の活力は現場にあります。研究力は、人材力×資金力×時間ですが、一日は24時間しかなく、資金は時の運。人材力を高められるようなマネジメントに奮闘したいと思いますので、多くの皆様のご指導、ご鞭撻、そしてご支援を、何卒よろしくお願いいたします。