COLUMN2023年11月号 Vol. 34 No. 8(通巻396号)

観測現場発 季節のたより[25] 人里離れた地で人間活動の影響を測る

  • 坂田昂平(地球システム領域地球大気化学研究室 特別研究員)

初夏に感じた蒸し暑さはなく、僅かながらに波照間島にも秋の訪れを感じます。一方で、昨冬に初めて波照間に訪れた際にはあまりの暑さにヒートテックを脱ぎ捨てお土産屋で購入したTシャツに着替えたことを思い出すと、この後に冬が訪れることはなくやはり常夏の島なのです。下の写真2枚は昨冬と今夏に同じ場所で撮影したものですが、どちらの景色も真夏そのものです(どちらが冬か夏かはクイズです。答えは最後に)。

今回は、東アジア域における石炭燃焼などに由来するブラックカーボンの観測準備のために来島しました。波照間島にはブラックカーボンの排出源がほとんどないため、冬から春先にかけては東アジアから流出してくるブラックカーボンに特化した観測研究が可能です。ブラックカーボン以外のエアロゾルでも人里離れた地(海上)での観測との関係は深いのですが、その観測地に関しては研究テーマによって適材適所があります。筆者もそれぞれのテーマに沿って能登半島などの陸地だけでなく、太平洋横断/縦断航海を通して波に揺さぶられながら観測を行ってきました。このように様々な自然環境と触れ合いながら研究ができることはエアロゾル観測の醍醐味の一つで、今後も研究テーマに沿った様々な自然環境の中で観測を続けたいものです。

【クイズ】 2枚の写真のうち、どちらか夏に撮影されたものでしょうか?


答え: 上(2023年9月13日12時頃に撮影)、下の写真は2022年12月26日12時頃に撮影。夏には多くの観光客が海水浴を楽しんでいましたが, 冬の海岸は閑散としていました。

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