COLUMN2024年2月号 Vol. 34 No. 11(通巻399号)

観測現場発 季節のたより[28] ヒグマ出没注意 落石岬ステーションにて

  • 吉田英司(地球・人間環境フォーラム つくば事務所)
  • 笹川基樹(地球システム領域大気・海洋モニタリング推進室 主幹研究員)

北海道の落石岬ステーションでは、大気の環境変化をモニタリングしています。設備や装置の点検・整備のため毎月訪れるのですが、2023年10月は、異例の事態となりました。

2023年秋には、全国で人里への熊の出没がニュースになっていました。実は落石岬灯台周辺の森林でも熊の目撃情報があり、周辺の木道への観光客の立ち入りが禁止されていました(写真1)。

写真1 落石木道へ通じる門の横の看板。2023年10月31日より再び開通されました。
写真1 落石木道へ通じる門の横の看板。2023年10月31日より再び開通されました。

日没後の単独作業を避けるため、点検日程を10/16夕刻〜10/19から10/17〜10/20に変更しました。そしてステーション滞在時は、ラジオを屋外に置き音を出しながら点検を行いました。幸い、熊には会いませんでしたが、私(吉田)が帰ったわずか30分後に、関連業者の方がステーションのすぐ近くに熊のフンを発見しました。肝を冷やしました。(後ほど根室市が確認したところ、外観は熊のフンに見えるが、内容物の形状により、鹿のものと判断され、周囲に足跡などの痕跡もなかったとのことでした。)

熊が人里に出てきたのは、環境変化で普段の生息域に食料が少なくなったためとも聞きます。環境変化の余波が、皮肉にも環境変化のモニタリングを困難にさせているようです。

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