JpGU2026における衛星・航空機観測研究の紹介 ― GOSATシリーズ、CONTRAIL、そして来場者との対話 ―
はじめに
日本地球惑星科学連合(JpGU)の大会は、地球や惑星、宇宙に関する幅広い分野の研究者が一堂に会し、最新の研究成果の発表や分野横断的な議論が行われる国内最大規模の学術大会です。研究者や学生に加え、一般来場者も参加し、研究成果の発信と交流の場として毎年開催されています。2026年はアメリカ地球物理学連合(AGU)とのジョイント大会として、5月24日~5月29日に千葉県の幕張メッセで開催されました。JpGU事務局によりますと、8,946名もの方々が来場されたとのことです。
引用:日本地球惑星科学連合メールニュース 6月号 No.417 2026/06/12
https://www.jpgu.org/publications/mailnews/20260612/#meeting_report
本大会において、国立環境研究所は衛星観測センターを中心とした展示ブースを出展し、衛星および航空機による大気観測研究について紹介しました。
GOSATシリーズが捉える温室効果ガスの変化
展示ブースでは、温室効果ガス観測技術衛星「GOSAT」シリーズ(GOSAT、GOSAT-2、GOSAT-GW)による観測の意義について解説しました。これらの衛星は、宇宙から全球規模で温室効果ガス濃度を長期にわたって観測しており、大気中の二酸化炭素などの濃度変化を長期的に捉えています(参考:GOSATが観測した最新のCO2濃度データhttps://www.gosat.nies.go.jp/recent-global-co2.html)。
観測データを通じて、温室効果ガス濃度の上昇が現在も続き、近年その増加速度が高まっていることや、全球スケールでの時空間分布の変動の様子を示しました。また、世界の主要都市周辺においてはいずれの都市でも濃度上昇が見られる一方で、季節変動や濃度の振幅は都市ごとに異なることを示しました。さらに、陸域生態系の影響などにより、特に北半球では南半球よりも振幅が大きく、季節変動のパターンも半球間で逆になることなども紹介しました。
今回は、こうした観測結果を分かりやすく伝える手段として、環境省から貸与されたGOSAT 3Dビジュアライザーも展示に加わりました。
航空機による大気観測プロジェクト「CONTRAIL」
また、国立環境研究所を中心に長年取り組まれている、民間航空機を活用した温室効果ガス観測プロジェクト「CONTRAIL」についても紹介しました。展示では、実際に航空機に搭載されている観測機器を用いながら、どのように上空の大気データを取得しているのかを解説しました。
https://cger.nies.go.jp/contrail/ja/about/index.html
衛星観測では捉えにくい高度方向の詳細な情報を、航空機観測が補完していることを説明することで、複数の観測手法を組み合わせる重要性を伝えました。
会場でのちょっとした出来事
会場では、環境配慮の取り組みの一環として、マイカップを持参しないとコーヒーを受け取れない仕組みが導入されていました。思わぬ形で持続可能性を意識することになりましたが、環境問題を扱う学会らしい試みとして印象に残る出来事でした。
進路相談を通じて見えた課題
今回の展示では、研究内容に関する質問に加え、進路相談も数多く寄せられました。高校生や大学学部生、大学院生など、さまざまな年代の来場者が研究に強い関心を示す一方で、研究者として将来やっていけるのかという不安を共通して抱いている様子がうかがえました。
こうした声にもこたえるために、展示ブースでは研究成果の紹介だけでなく、研究者のキャリアや進路についても情報発信し、研究所と直接対話できる場を提供することも重要であると感じました。
今後に向けて
今回の展示を通じて、衛星・航空機観測研究の意義を伝えると同時に、来場者との対話の重要性を改めて実感しました。今後は展示ブースに加え、進路相談に特化したスペースを設けるなど、研究内容とキャリアの両面から研究の魅力を発信していく取り組みも検討していきたいと考えています。
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