DNDC モデル概要 The Denitrification-Decomposition (DNDC) モデルは、農業生態系における炭素、窒素の生物地質化学的挙動に関する、プロセス指向シミュレーションモデルであり、炭素固定や微量ガス排出、農業生産、窒素挙動等の予測が可能である。モデルは、大きく2つの部分に分かれる。1つは、土壌、気候、農産物の成長及び分解に関するサブモデルであり、土壌の温度、水分量、pH、酸化還元電位等の挙動を予測する。もう一つは、消化作用、脱窒作用、発酵作用等に関するサブモデルで、NO、N2O、N2、CH4、NH3のフラックスを、土壌環境ファクターを基に予測する。研究機関で考案された経験式はもちろん、従来からの物理学、化学、生物学の法則を使用して、地化学的反応や生化学のパラメータ化が行われている。 DNDCでは、土壌有機炭素(SOC)は、主に植物(落葉落枝等)、微生物バイオマス、活性腐植土、不活性腐植土の4種類の形態で蓄積されることを想定している。それぞれのプールは、分解率の異なる種により2、3個のサブプールで構成されている。各分解率は、蓄積量、種の分解率、温度等によって決定される。SOCが分解されると、一部は他のプールに蓄積され、一部はCO2として失われる。SOCの分解過程においては、分解された窒素の一部が別の有機物プールに移動し、一部はミネラル化してアンモニウムイオンとなり、硝化作用に利用される他、平衡状態により、溶解アンモニアや粘土吸着アンモニウムに濃縮される。アンモニアの大気中への気化は、土壌水分中へのアンモニアの濃縮と、土壌環境係数(温度、水分量、pH)によりコントロールされている。 また、農作物成長のシミュレーションには、2つのオプションが用意されている。経験的なアプローチを選択すると、農作物成長は日レベルの時間ステップにおける温度、最適な農作物バイオマス量、窒素圧、水圧の蓄積を基に計算される。プロセスベース型のアプローチを選択すると、上記環境係数だけでなく、吸収光の利用効率や葉による光合成の最大効率、植物の生育段階における成長率、繁殖期の成長率、初期バイオマス量といった生理学的、生物気候学的なパラメータ等に基づいた光合成、呼吸、炭素割当により農作物の成長を追跡する。 モデルの計算結果としては、シミュレーション期間における毎年の土壌炭素、窒素蓄積量及びフラックス、農作物の収穫量やバイオマス区分の平均値が算出されるほか、日々の土壌環境、農作物成長、土壌炭素量及びフラックス、土壌窒素及びフラックスが記録される。 (▲このページのTOPへ戻る) 入出力パラメータ DNDC(Ver.8.2)は、siteモードとregionモードの2通りの計算が可能である。regionモードでは、入出力パラメータはGISデータと統計データの組み合わせとなっているが、パラメータの種類としては両モードともほとんど同じである。 (入力パラメータ) (出力パラメータ) (▲このページのTOPへ戻る) リンク先 ・ The DNDC Model HP (http://www.dndc.sr.unh.edu/ ) (▲このページのTOPへ戻る) |
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