アジア太平洋地域は、かつてはその多くが熱帯降雨林に覆われていましたが、商業伐採をはじめとする農地開発、都市化等、さまざまな土地利用変化により、その面積は著しく減少しました。熱帯林の破壊は、地域住民の生活の場を奪うだけでなく、CO2の排出源となって地球温暖化を進行させたり、地球レベルでの生物多様性の減少を招く等、複合的な悪影響をもたらしています。
1997年に開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)では、先進各国の温室効果ガス排出削減義務に関する数値目標を定めた京都議定書が採択されました。この京都議定書では、植林、再植林等の吸収源に関連する活動が、温室効果ガス削減の数値目標の達成に関わることが示されました。その後、COP7のマラケシュ合意において、吸収源に関する決定がなされ、その中で、第一約束期間における各国の割当量への算入の上限値が示されました。さらに、COP9では土地利用、土地利用変化、林業に関するグッドプラクティスガイダンスが検討されました。このように、吸収源活動は温暖化対策の一つとして認められてきましたが、その具体的な扱いについては、現在も国際交渉における検討が進められており、吸収源に関する国際的なルールの検討は各国の注目を集めているテーマです。
一方、京都議定書の中で規定された柔軟性メカニズム(京都メカニズム)の一つに、クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism:CDM)があります。先進国が途上国に技術と資金を提供し、途上国における温室効果ガス排出量を削減したり、吸収量を増大させたりすることができた場合、その効果の一部を先進国の削減目標達成のために利用することができるという仕組みです。植林等による吸収源関連のCDMプロジェクトを通じて、途上国において適切な森林保全を行うことができれば、温暖化防止のみならず、他の面においても複合的なメリットをもたらすものとして、先進国と途上国が協力して取り組むに最もふさわしいものの一つとなり得ます。また、CDMには民間機関の参加も認められており、民間の参加しやすい制度にするための検討も行われています。
このため、行政担当者、吸収源関連分野の研究者の方、吸収源CDMに関心のある企業の実務者の方等を主な対象とし、アジア太平洋地域における温暖化対策、特に吸収源関連対策プロジェクトに関して、さまざまな情報をとりまとめて提供するためのデータベースを作成しました。
京都議定書と京都メカニズム
吸収源の基礎知識
吸収源CDMの基礎知識
GPG-LULUCFにおける吸収量算定方式
CDM・吸収源プロジェクトの基礎知識 (旧HPより移行)
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