グリーンカーテン育て方日誌 いちから始めたグリーンカーテンづくり

9 月3

パッションフルーツの挿し木 (2)

昨日の夕方、水をやりにグリーンカーテンへ行ってみると挿し木のためにペットボトルに挿してあったパッションフルーツの葉が落ちていました。どうしたのかと思ってペットボトルを持ってみると中の水がお湯になっている……全滅です。ペットボトルに日が当たり、中の水がお湯になって、すっかり茹で上がってしまったようです。仕方なくもう一度作り直し、今度は直射日光が当たらないグリーンカーテンの裏側に置きました。

ペットボトル

一方、先日ポットに植えた挿し木は順調に育っているようです。やはり長時間水につけて根が出やすい状態を作ったからでしょうか。1本の脱落もなくに育っています。問題は、来春までどうやって保存するかですが、温室に持っていってあまり大きく育ち過ぎても困るので、ある程度温度が低い建物内で保存するのが良いかもしれません。

ポット

9 月11

パッションフルーツ

全体

9月9日の全体像。下の方が透いてきた

9月も2週目に入りだいぶ涼しくなってきました。ここのグリーンカーテンも終わりに向け少しずつ葉を落とし、下の方はだいぶ透いてきました。ゴーヤは8月後半に収穫のピークを迎え、実のサイズも小さくなってきました。

そして、ようやくパッションフルーツもを落とし始めました。お盆過ぎあたりから徐々に赤くなりだしていたのですが、8月の末に最初の1個が落下し、その後はポツポツと日に1個ずつくらいのペースで落ちています。パッションフルーツの実は、丈夫な外皮に覆われていて重量も軽いので、落下の衝撃で割れることはあまりありませんが、それでも高い所から硬いコンクリートに落ちればどうなるか分かりません。そこで使い古しの緩衝材(いわゆるプチプチ)を下に敷き、落下の衝撃を和らげています。

パッションフルーツ

パッションフルーツを落下の衝撃から守るために緩衝材を敷く

パッションフルーツの実は、落ちてから室温で1週間ほど保存しておき、表面がしわしわになったら冷蔵庫で少し冷やして食べます。食べるのは実の中の種と、種の周りの黄色いゼリー状の果肉ですが、かなり酸味が強く、香りが良いです。

落ちた日付を付箋に書き、へたに付けて事務室に置いていますが、時折南国のフルーツらしい香りが漂ってきます。

パッションフルーツ

置いておくと徐々に色が濃くなっていく

パッションフルーツ

気温が下がりまた花が咲き始めた

パッションフルーツ

パッションフルーツの断面。真ん中の黄色い果肉と種を一緒に食べる

9 月17

種採り

台風後

9月17日、台風後のグリーンカーテン。葉がしなびていてダメージの大きさをうかがわせる

台風一過で非常に良い天気になりました。台風の時は、グリーンカーテンをあらかじめ地面に落としておくとダメージが少ないかもしれませんが、落とせるようになっていない場合は風の吹かれるままになります。我々のカーテンは上下をしっかり固定してあるので、カーテン自身に問題はなかったのですが、植物の方はそれなりにダメージを受けてしまいました。

さて、いよいよこの「グリーカーテン育て方日誌」も終りに近づいています。最後はゴーヤの種の採り方です。種採り用の実は、わざと収穫しなかった、あるいは気がつかなくて爆発させてしまったもので十分ですが、やはりなるべく大きくて形が良い物の方が良いでしょう。

完熟して爆発したゴーヤの中には赤いゼリー状の果肉に覆われた種があります。このゼリー状の果肉は流水の中などで指を使ってこそげ取ります。ゴーヤは種にも親の特徴が微妙に出ます。大長レイシの種は細長く、純白ゴーヤの種は全般に色白です。

ゴーヤ
ゴーヤ

このように爆発してしまったゴーヤから種を採る

種を取り出したら、コップなどに水をいれ、そこに採った種を入れます。ここで沈まずに浮いてしまう種はほとんど発芽しないので沈んだ種だけを取り出し、乾燥させます。十分に乾いたら、紙の封筒やティッシュなど、空気を通す素材でできた入れ物に入れて冷暗所で来年の春まで保管します。

スーパーなどで買ってきたゴーヤの種でも、コップの水に入れて沈むようであれば発芽する可能性が高いので、来年はぜひ皆さんもグリーンカーテン作りに挑戦してみませんか?

種

赤い果肉を取り除いて種を水に入れ、沈んだ種を採取する

種

採れた種

9 月20

まとめとグリーカーテンの効能

大まかですが、2013年のグリーンカーテンの植物の最終的な勢力図です。

勢力図

植物の種類ごとに範囲で示しています。囲った部分以外でもお互いに絡み合いながら、四方八方に伸びています。特にゴーヤは建物2階のテラスに進出し、さらに3階をもうかがおうかという勢いです。パッションフルーツは向かって右端の木のみが大量に実を付け、向かって左側の2株は、9月の中頃になってようやく実を付けました。いずれも2階に進出し、さらに伸びようとしています。

また、フウセンカズラは目立ちませんが、パッションフルーツ、ニューメロン、ゴーヤの隙間を縫うように伸びており、部分的にはネットのほぼ一番上まで伸びています。ニューメロンは下にも勢力を伸ばしてプランターの前を占拠しています。このように混合して植えると植物によって高いところまで成長するものと低い範囲しか成長しないものがあることが分かります。

裏

グリーンカーテンのの日陰になる部分は涼しく、コンクリートやガラスの温度上昇を抑えてくれます。こういったカーテンによってできる日陰については、温度だけに着目するのであれば、すだれなどでも十分な効果があると思います。しかし、グリーンカーテンは、それにプラスして植物の葉の持つ蒸散機能により、植物自身の温度があまり上がらないことや、まわりの空気を涼しくする可能性を持っています。同時に少しですが二酸化炭素の吸収やそれによる実の収穫など、副産物も期待できます。

これらの植物をサーモカメラで正面から撮影し、温度の分布をとらえたものを紹介します。上部のコンクリート面は日光にあたっており、サーモカメラでは色が白く見えています。これは温度が36℃以上であることを示しています。一方、2階に進出しようとしているゴーヤや、パッションフルーツの葉の色は29〜30℃程度を示しており、コンクリート面よりも日光にあたっていながら低い温度に保たれています。

サーモカメラ

グリーンカーテン全体を見るとサーモカメラの色は白、赤から緑色に表示されています。パッションフルーツは葉が少し硬質で日光に向かっているものが多いためか、高い温度を示す白い色になっているところが多く見られます。これらの葉は日光により温度が36℃程度まで上がっているのでしょう。しかし、ゴーヤの大部分は赤く写っており33℃程度までしか上がっていないようです。

これらから、葉が空気などとの熱交換蒸発を伴う作用により比較的温度が低く保たれていることが考えられます。同時に、葉同士が重なりあい複層的にカーテンを構成しているために、日の当たる前面でない葉や、その奥の葉の部分は29℃程度まで下がっており、中には27℃程度になっているところも存在します。

このように、比較的カーテン自身の温度も上がらない上に、複層的な葉の構造のために、奥の部分の温度も低く保たれるため、素材からの輻射熱が少ないカーテンになっていることがわかります。したがって、上手く作ることで日よけや涼しさの効果は大きいものと期待できます。

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