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地球温暖化対策を話し合う国連の会議「COP25」からのたより(その2)

スペイン・マドリードで開催されているCOP25では、連日、数多くのサイドイベント等が行われています。12月4日に開催されたサイドイベント等と国立環境研究所の展示ブースの様子をご紹介します。

Global Carbon Budget 2019Press Conference

国立環境研究所内にも国際オフィスがあるGlobal Carbon Projectの活動と、1850年以降の人為起源CO2排出量、海洋への吸収、陸域への吸収などの世界全体の炭素収支の経年変化が紹介されたあと、世界全体の人為起源排出量は2019年の終わりまでに前年比0.6%増加する見込みであることが報告されました。2018年に比べて上昇率は下がっていますが、排出量が低下し始めるには至っていません。2019年の大気中CO2濃度の平均値は約410 ppmになると推定されています。

ICOS Side event “Standardized observations are the base of all climate science”

Integrated Carbon Observation System(ICOS)は温室効果ガスと炭素循環の変化を観測に基づき把握することを目的とした欧州のプログラムです。サイドイベントでは、ICOSの趣旨説明に始まり、大気観測の標準化を担っている世界気象機関(WMO)全球大気監視(GAW)の取組が紹介されました。国立環境研究所からも、気象庁や国立環境研究所の進める地上、船舶、航空機観測に加え、衛星観測などの各種観測の現状と、データ利活用の課題を紹介しました。

展示ブース

国立環境研究所とリモート・センシング技術センター(RESTEC)の合同展示ブースでは、衛星(GOSATシリーズ)による温室効果ガスの観測を紹介しています。ディスプレイに投影されているのは2009年から2017年までに得られたGOSATの観測データを利用して作られた全球地表面のCO2濃度のシミュレーション動画です。

たくさんの参加者が衛星で温室効果ガスを観測することに関心を示してくれました。今回、現地の参加者のためにGOSATシリーズのリーフレットのスペイン語バージョンを用意しました。これはとても役に立ちました。

※GOSAT(Greenhouse gases Observing SATellite)は、環境省、国立環境研究所、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同で開発した温室効果ガス観測技術衛星。