CGER Reports I073-2007
2007. 4. 9
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CGER’S SUPERCOMPUTER MONOGRAPH REPORT Vol.12

Climate Change Simulations with a Coupled Ocean-Atmosphere GCM
Called the Model for Interdisciplinary Research on Climate: MIROC
概要 - 79p -

 本モノグラフは、観測された過去の長期気候変化メカニズムの解明と人間活動に伴う温室効果ガスなどの排出により引き起こされる将来の気候変化の推定とを主な目的として、気候モデルを用いて行ったさまざまな気候変化シミュレーションの概要と結果についてまとめたものである。シミュレーションに用いた気候モデルは、国立環境研究所と東京大学気候システム研究センター、海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センターが共同で開発した大気海洋結合モデルMIROC (Model for Interdisciplinary Research on Climate) であり、解像度は大気が水平約300km、海洋が水平約150kmである。

 本モノグラフで紹介している主な成果は以下の通りである。現状で考えられるほぼすべて(人為起源+自然起源)の気候変動要因を考慮した20世紀の気候再現実験において、モデルは20世紀に観測された気温変動を非常によく再現した(図1)。また、人為要因のみ、自然要因のみを考慮したシミュレーション結果から、近年の温暖化傾向は人間活動に伴う気候変動に起因すること、20世紀前半の昇温傾向は主として自然起源の気候変動に起因することが示唆された(図1)。さらに、地域的な気候変化の再現性を向上させるためには、煤などの炭素性エアロゾルの増加も考慮する必要があることが示された(図2)。気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)の複数の排出シナリオに基づく将来の気候変化予測シミュレーションを行った結果、シナリオによって変化の振幅は異なるものの、気温上昇や降水量変化の水平分布はいずれもほぼ同じであることが明らかとなった。

 なお、本モノグラフで報告したシミュレーション結果の一部は、世界中の気候研究者に提供され、IPCC第4次評価報告書にも引用されている。

図1 図1 全球年平均地上気温の経年変化。黒線は観測値を、赤線は気候モデルによるシミュレーション結果(初期値の異なる4メンバーのアンサンブル実験の平均)を示す。観測、シミュレーション結果とも、1881~1910年の平均気温からの偏差を示す。薄赤色の部分は4メンバーのアンサンブル実験結果のばらつきの範囲を示す。上から、すべて(人為+自然)の気候変動要因を考慮した場合(FULL)、自然起源の気候変動要因のみを考慮した場合(NTRL)、人為起源の気候変動要因のみを考慮した場合(ANTH)、温室効果ガスの濃度増加のみを考慮した場合(GHGS)。
図2 図2 20世紀中盤(1942~1979年)における地上気温の線形トレンドの地理的分布。単位は10年当たりの気温上昇率(℃/10年)。上から、(a) 観測(Obs.)、(b) 人為起源(硫酸+炭素性)エアロゾル排出量を産業革命前の値に固定した場合(AEFX)、(c) 硫酸エアロゾル排出量のみ増加させた場合(CEFX)、(d) 人為起源の(硫酸+炭素性)エアロゾル排出量を増加させた場合(FULL)。


目次
  • Foreword
  • Preface
  • Contents
  • List of Figures
  • List of Tables
  • Abstract
  • Chapter 1 General Introduction
  • Chapter 2 Model Description and Experimental Design
  • Chapter 3 Simulated Climate States in the Control Experiment
  • Chapter 4 Transient Climate Responses to Increasing CO2
  • Chapter 5 20th Century Simulations
  • Chapter 6 Projections of Climate Change under IPCC SRES Scenarios
  • Chapter 7 Summary and Conclusions