CGERリポート

CGER’S SUPERCOMPUTER MONOGRAPH REPORT Vol.16 Idealized Numerical Experiments on the Space-time Structure of Cumulus Convection Using a Large-domain Two-dimensional Cumulus-Resolving Model

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積雲対流は、凝結の潜熱による大気運動の駆動、水循環、放射収支の制御など、地球の気候系において多くの面で重要な役割を担っています。しかし、積雲のスケールはグローバルな大気と比較して非常に小さく、その中での物理過程も複雑であるため、気候モデル中に雲の効果を適切に表現することは簡単なことではありません。近年、地球シミュレーターなどの超並列計算機上で積雲スケールに迫る高解像度でグローバル大気を計算することが可能になってきましたが、生成される巨大なデータの解析を経て結果を理解することは容易ではありません。

本モノグラフでは、計算領域を水平・鉛直の2次元に制約しつつ広い領域(4,096 km – 65,536 km)をカバーする積雲解像モデルを用いて、全領域が海洋である理想化された熱帯大気(図1)における積雲の振る舞いを調べた数値実験の結果を示します。モデル中の積雲は、与えられた境界条件、初期条件、外力の水平非一様に応答する(図2、図3)こともありますが、外的非一様が全く存在しない条件でも内部のフィードバックによって大規模な構造化を生じることもあります(図4、図5)。また、モデルの中を詳細に見ると(図6)、個々の雲からグローバルスケールに至るまで、様々なスケールの構造が自発的に生じていることがわかります。

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図1 理想化された熱帯大気の概念図

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図2 モデル大気中の降水量の水平分布の時間発展。濃い色が強い降水を表す。
海水面温度、放射冷却、初期条件の全てが一様な場合

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図3 大規模な非一様に対する応答。
海水面温度の非一様(左)、放射冷却の非一様(右上)、対流圏中層の湿度の非一様(右下)を与えた場合のモデル大気中の降水量の水平分布の時間発展

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図4 対流圏中の放射冷却の鉛直分布の与え方に対する応答。
対流圏上部で冷却が強い場合(左)、対流圏下部で冷却が強い場合(右)のモデル大気中の降水量の水平分布の時間発展

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図5 下層風速が海面からの熱・水蒸気フラックスにフィードバックする場合の降水量の水平分布の時間発展

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図6 モデル大気中に現れる多重スケール構造。領域65,536 kmの実験より、2,800 kmの部分を切り出した拡大図