2016年9月号 [Vol.27 No.6] 通巻第309号 201609_309008
酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 31 世界の温室効果ガス排出量 —3R・低炭素社会検定より—
3R・低炭素社会検定は、持続可能な社会の実現のため、3Rや低炭素社会に関する知識を活かして、実践行動を行う人を育てることを目的としています。【3R・低炭素社会検定 低炭素社会分野試験問題解説集「はしがき」より】
検定試験問題から出題します。
問92次の文章の【A】〜【C】の国名の組み合わせとして適切なものは次のうちどれか? 世界のエネルギー起源CO2排出量は、2007年に【A】が【B】を抜き、【A】が世界第1位の排出国、【B】が世界第2位の排出国となった。また、2009年に【C】がロシアを抜き、世界第3位の排出国となった。
中級レベル
正答率 78%
- ①【A】アメリカ 【B】中国 【C】日本
- ②【A】アメリカ 【B】中国 【C】インド
- ③【A】中国 【B】アメリカ 【C】日本
- ④【A】中国 【B】アメリカ 【C】インド
- ヒント
- 【A】と【C】は人口が多く、近年、経済成長が著しい新興国です。
- 答えと解説
-
答え: ④
国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)が、世界各国のエネルギー起源CO2排出量をとりまとめ、発表しています。IEAの発表によると、2006年まで排出量1位の国はアメリカでしたが、2007年に中国がアメリカを抜き、世界1位の排出国となりました。その後、中国とアメリカの排出量の差は拡大しています。また、2009年にはインドがロシアを抜き、世界第3位の排出国となりました。2011年現在、国別のエネルギー起源CO2排出量は中国、アメリカ、インド、ロシア、日本の順となっています。
- *正答率は第7回3R・低炭素社会検定受験者のものです
問93次の文章の【A】、【B】にそれぞれ当てはまる数値と語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか? IPCC第5次評価報告書によると、世界の人為的活動による温室効果ガス排出量は、2000年から2010年までは年率約【A】%で増加し、とりわけ【B】による排出が増えている。
中級レベル
正答率 68%
- ①【A】10 【B】CH4とN2O
- ②【A】2 【B】化石燃料・工業プロセス
- ③【A】0.2 【B】森林減少・土地利用変化
- ④【A】0.02 【B】Fガス類
- ヒント
- エネルギー需要の増大によるエネルギー起源CO2排出量の増加が影響を与えています。
- 答えと解説
-
答え: ②
IPCC第5次評価報告書によると、世界の人為的活動による温室効果ガス排出量は、2000年から2010年までは年率約2.2%で増加し、とりわけ化石燃料・工業プロセスによる排出が増えています。
なお、化石燃料・工業プロセスによるCO2排出量は世界の温室効果ガス排出量の65%を占めています。
- *正答率は第7回3R・低炭素社会検定受験者のものです
問94IPCC第5次評価報告書では、地球温暖化の将来予測シナリオが発表された。そこで示された、気温上昇を2.0°C未満(1850〜1900年基準)に抑える※ために必要な取り組みに関する記述として、最も適切なものはどれか?
※ 高い蓋然性で21世紀中の気温上昇を2.0°C未満(1850〜1900年基準)に抑える場合
上級レベル
正答率 20%
- ①2100年における大気中の温室効果ガス濃度をCO2換算で550ppm程度に抑える必要がある
- ②2050年の温室効果ガス排出量を2010年に比べ、約2〜3割削減する必要がある
- ③2050年で低炭素エネルギーの割合を30%程度にする必要がある
- ④2100年において温室効果ガス排出量をマイナスにすることが求められる可能性がある
- ヒント
- 2.0°C未満に抑えるには、長期的にかなり大胆な削減が必要になってきます。
- 答えと解説
-
答え: ④
21世紀中の気温上昇を高い蓋然性で2.0°C未満(1850〜1900年基準)に抑えるためには、2100年時点の温室効果ガス濃度をCO2換算で450ppm程度以下にしなければならず、これは2050年排出量では、2010年比41〜72%削減、2100年排出量では78〜118%削減に相当します。なお、118%削減とは、排出量を100%削減した上に、さらに18%に当たる量を吸収すること(排出量をマイナスにすること)を意味し、CCS付きバイオマスエネルギーの利用や森林等吸収源対策が挙げられます。
- *正答率は第7回3R・低炭素社会検定受験者のものです
- 出典:3R・低炭素社会検定(http://www.3r-teitanso.jp)低炭素社会分野試験問題解説集
世界の温室効果ガス排出量については、「地球をめぐる温室効果ガス—どこでどれだけ減らせるか?—」でも紹介しています。