1. はじめに

公的機関が作成する統計（公的統計）が国民により使いやすいものとなるよう、平成21年4月に統計法が全面的に改正されました。これに関連して、公的統計の統合的・計画的な整備を政府全体で進めるため、「公的統計の整備に関する基本的な計画」（以下、基本計画）が平成21年3月に閣議決定されました。基本計画において、環境省は関係府省と協力して「気候変動による影響（人間、農作物、建築物等）に関する統計を整備する」こととされています。

環境省ではこの統計整備に関する方針等を検討するため、有識者による「気候変動影響統計整備ワーキンググループ」を平成22年度に地球温暖化観測推進事務局（以下、事務局）に設置し、「気候変動影響の統計整備に関する基本方針」（平成23年3月）を策定しました。この基本方針に基づき、地球温暖化対策や、地球温暖化に関する研究、普及啓発、データの利用促進に資するため、環境省は関係府省・機関の協力のもと、「気候変動影響統計ポータルサイト」（以下、ポータルサイト）を平成23年度に構築しました。事務局は環境省の委託を受けて、ポータルサイトへ掲載するデータの整備を実施しました。このポータルサイトは環境省の成果物ではありますが、当面の管理運用を事務局で行うことから、国立環境研究所のwwwサーバーに設置し^[1]、平成24年3月末に開設の運びとなりました^[2]。

2. 気候変動影響統計ポータルサイトの概要

本ポータルサイトでは、インターネット上に散在する気候変動影響に関するさまざまな情報を効率的に検索・利用しやすいように、各情報源のURLを収集・整理しています。具体的には、気候変動が原因と考えられる影響が既に顕れている、もしくは今後影響が顕れる可能性のある、社会・経済的事象に関する「統計データ」（数値やグラフの情報）と、気候変動の影響を考える上で参考となる資料等を集めた「参考情報」の、二種類の情報源より構成されます。いずれも、従来より国内のさまざまな機関がそれぞれの目的に応じて作成、オンライン公開している情報を対象に、気候変動の影響という観点から幅広くリスト化しています。

さらに、各情報源を組織（所有機関）別、分野別（表参照）、キーワード別にまとめ、これらの関連用語による検索やGoogleによるサイト内検索の機能を付与しています。「その他」の分野では、主として建築物分野の適応策において基礎資料となる統計（エネルギー、電力消費、交通・輸送等）や、社会・経済的事象との対比ができるように気象・気候に関する統計・資料等を収集しています。また、各情報源について、統計項目や収録対象地域・期間等の概要、データの利用条件や問合せ先に関するURL等を掲載しています。

図気候変動影響統計ポータルサイトより、関連用語による検索結果の例

環境省では、ポータルサイト開設に合わせて、「気候変動影響統計レポート2011」^[3]を公開しました。同レポートでは、ポータルサイトに掲載した統計情報や各種の調査成果等より読み取ることのできる気候変動影響の可能性について解説を行っています。こちらもぜひ、ご参照ください。

3. おわりに

ポータルサイトを通して気候変動による影響に関するさまざまな情報を国民にわかりやすく提供できるよう、環境省と事務局は今後も各種統計の調査・収集を行い、内容の更新・拡充を行ってまいります。ポータルサイトには事務局ホームページからもアクセスできます^[4]。皆様にはぜひ一度アクセスいただき、ポータルサイトがより網羅的で使いやすくなるよう、ご意見等をお寄せいただければ幸いに存じます。